講演情報

[III-P03-1-09]心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖の初回姑息術の際にPulmonary arterial coarctationへの肺動脈形成は必要か?

杉谷 雄一郎1, 峰松 優季1, 田中 惇史1, 峰松 伸弥1, 池田 正樹1, 豊村 大亮1, 清水 大輔1, 渡邉 まみ江1, 宗内 淳1, 篠原 玄2, 落合 由恵2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.JCHO九州病院 心臓血管外科)
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キーワード:

体肺動脈シャント術、肺動脈狭窄、動脈管

背景: Pulmonary artery coarctation(pCOA)は遠隔期に左右肺動脈の不均衡を生じる可能性がある。一方で初回姑息術時の肺動脈形成術の有効性には議論の余地がある。目的: 初回姑息術時のpCOAに対する肺動脈形成が術後早期の介入の必要性や左右肺動脈の不均衡に与える影響を明らかにすること。対象および方法: 2000年から2024年に当院で治療した心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖(PAVSD)35例(MAPCA除外)のうち、肺動脈最狭窄径3mm以下のpCOA例23例(66%)を対象とした。pCOA例を初回姑息術時肺動脈形成を行った群と未実施群に分け、肺動脈最狭窄径、PA index、左肺動脈/右肺動脈径比を初回姑息術前後の血管造影で比較した。結果: 肺動脈形成実施3例(13%)、未実施 20例であった。初回体肺動脈シャント術(APS)時日齢および体重は62(IQR:40─79)日 vs 147(121─157)日(P=0.04)、3.8(3.3─4.3)g vs 6.0(4.8─6.1) g(P=0.03)であった。全例左動脈管で、左側大動脈弓が16例(70%)であった。側開胸 16例(70%)、正中切開 7例であった。APSは右11例(48%)、左10例(43%)、セントラル2例(9%)であった。動脈管対側にAPS実施例は11例(48%)であった。術前の肺動脈最狭窄径は2.3(1.9─2.4) vs 2.6(2.5─2.7) (P=0.10)、PA index 137(98─206) vs 166(140─190)(P=0.85)、左肺動脈/右肺動脈径比0.84(0.70─1.01) vs 0.81(0.66─0.95) vs 0.60(0.57─1.20)(P=0.73)で差はなかった。術後も最狭窄径は2.8(2.3─3.8) vs 4.1(2.8─5.4)mm(P=0.97)、PA indexは235(182─303) vs 266(240─292)(P=0.85)、左肺動脈/右肺動脈径比0.82(0.68─1.03) vs 0.74(0.71─0.77)(P=0.73)から差はなかった。対側APS追加例は10例で、1例は3か月以内に実施した。心内修復術到達は16例(70%)で、13例が同時に肺動脈形成を実施した。結論: PAVSDのpCOAに対して初回姑息術時に肺動脈形成術を実施しない場合も術後早期介入は少なく、左右肺動脈の有意な不均衡を生じなかった。