講演情報

[III-P03-1-10]総動脈幹遺残症に対する肺動脈絞扼術の検討

小倉 健1, 岩田 祐輔1, 渕上 泰1, 中村 真1, 桑原 直樹2, 山本 哲也2, 田中 秀門1,2, 桑原 尚志2 (1.岐阜県総合医療センター 小児心臓外科, 2.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)
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キーワード:

Persistent truncus arteriosus、Pulmonary artery banding、Staged repair

【はじめに】総動脈幹症(PTA)は低体重やショック,など一期的修復術がhigh riskな症例に対して肺動脈絞扼術(PAB)を用いた段階的治療が選択されることがある.当施設のPTAに対するPABの治療成績を後方視的に検討した.【方法】1997から2024年までに初回手術でPABを行った6例を対象とした.PAB時の日齢は10(1-16)日,体重は2.6(1.6 -2.9)kg,Collett-Edwards type1 5例,type2 1例,PABの理由はショックが4例,低体重が1例,mild-moderate truncal valve regurgitation(TrVR)のためが1例であった.絞扼径はSpO2,血圧,エコーのvelocity,Bil. PABは拡張期流速/収縮期流速(DV/SV)を目安とした.【結果】Main PAB 2例,Bil. PAB 4例が行われた.各値の中央値はSpO2 83.5 %,血圧60/35 mmHg,Main PABの絞扼径は2例とも17mmでvelocity 2.6と3.8 m/s,Bil. PABの絞扼径は全例左右同じ12(9-13) mm,DV/SV 0.50と0.61であった.待機期間は8 (5-14)ヶ月で3例はRastelli (R)に到達,1例はR待機中,1例は病院死亡,1例は遠隔死亡であった.2例にPA発育不良のため姑息的Rastelli (pR),PA angioplasty(PAP)が行われた.うち1例はショックのため1.6kgでPABを行った.PA trunk短くBil. PABを選択した.PAI 82 mm2/m2であった.1歳4ヶ月時にpR,PAPを行ったが,DCMにて3歳で遠隔死亡した.もう1例はTrVRのためPABを行ったが,PA trunk短くRPSとなりPAI 170mm2/m2であった.7ヶ月時にpR,PAPを行い,R待機中である.病院死亡例はsevere TrVSRでLOSのためショックを離脱できずTrV plastyを行ったが救命できずに死亡した.【結論】PABはショックの症例において段階的に修復術に到達するための有効な方法であった.PAの形態からBil. PABが必要となる症例もあったが,待機期間が長期になるとPA発育不全をきたす可能性があり,適切な介入時期の判断が重要と考えられた.TrVSを有する症例は初回手術でTrV plastyが検討されるべきであった.