講演情報

[III-P03-2-10]新生児期に手術を施行した先天性心疾患における出生前診断の有無と転帰との関連

広田 幸穂1, 椎間 優子1, 林谷 俊和1, 長井 勇樹1, 青木 一憲1, 亀井 直哉2, 田中 敏克2, 黒澤 寛史1 (1.兵庫県立こども病院 小児集中治療科, 2.兵庫県立こども病院 循環器内科)
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キーワード:

出生前診断、新生児、周術期管理

【背景】先天性心疾患の出生前診断症例では手術前の死亡率が低下するとされているが、周術期の転帰に関しては一定の見解を得られていない。【目的】新生児期に心臓外科手術を要する先天性心疾患の患者について、出生前診断の有無が周術期の転帰改善に関連するかを検討する。【方法】2019年1月1日から2023年12月31日までに兵庫県立こども病院で日齢30までに心臓外科手術を受け、手術前後に小児集中治療室(PICU)に入室した先天性心疾患の患者について、診療録を用いて後方視的に検討した。調査項目は出生前診断の有無、背景因子、手術日齢と内容、治療内容、PICU滞在期間、入院中死亡、合併症の有無とした。【結果】対象は173例(男児95例、55%)で、出生前診断あり(あり群)が102例(58%)、なし(なし群)が71例(42%)であった。あり群の診断は大動脈縮窄複合もしくは大動脈弓離断複合(CoA/IAA complex) 18% 、機能的単心室(SV) 25%、総肺静脈還流異常(TAPVC) 5% 、完全大血管転位(TGA) 11%、両大血管右室起始(DORV) 17%、その他24%であった。なし群ではCoA/IAA complex 22% 、SV 9%、TAPVC 23% 、TGA 15%、DORV 3%、その他28%であった。在胎週数、出生体重、手術施行日齢に差はなかった。術後PICU滞在期間(中央値[IQR])はあり群12日[8-19]、なし群16日[11-24] (p=0.01)、入室中のECMO管理はあり群で0例(0%)、なし群で3例(4%) (p=0.13)、腎代替療法はあり群0例(0%)、なし群5例(7%) (p=0.02)、入院中死亡はあり群7例(6%)、なし群4例(6%) (p=0.71)であった。【考察】出生前診断あり群では術前の状態安定化や至適時期の手術計画ができることで、周術期にECMO管理や腎代替療法を要することが減り、術後PICU滞在期間の短縮につながった可能性がある。【結論】新生児期に手術を要する先天性心疾患の児において、出生前診断があった群でPICU滞在期間が短縮した。