講演情報
[III-P03-3-02]総肺静脈還流異常症術後成人患者に対するイソプロテレノール負荷試験の有用性
○竹田 義克, 轉馬 珠美, 藤田 修平 (富山県立中央病院 小児科)
キーワード:
ACHD、TAPVC、ISP
【はじめに】総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後の長期生存率は95%以上と良好であるが,修復術後の7~20%に肺静脈狭窄(PVO)かみられ,成人期まで軽度の狭窄が残存する症例がある.安静時は問題なく経過しているが妊娠時や運動負荷時の循環血液量増加時にPVOが増悪する可能性もあり,成人科移行前の評価のため心臓カテーテル検査時にイソプロテレノール( ISP)負荷を行い評価を行った3症例について報告する.【症例】1.25歳女性, TAPVC1b型に対して修復術後, 心エコー図検査にて左房入口部血流速度が1.8m/sと軽度加速あり.NYHA1度で経過していたが, 挙児希望があり, 評価目的にISP負荷試験を施行.負荷前: C.I. 3.2, mPAP 17mmHg, PCWP m10mmHg, LVEDP 10mmHg.負荷後: HR106/min, C.I. 5.8, mPAP 14mmHg, PCWP m8mmHg, LVEDP 8mmHgとPCWPとLVEDP≒LAの圧較差を認めず, 妊娠時の心負荷へ耐用できると判断した.2.33歳女性,TAPVC3型に対して修復術後,左肺静脈閉塞あり.軽度肺高血圧があり, マシテンタンを内服中.NYHA1度, 挙児希望があり, 評価目的にISP負荷試験を施行.負荷前: C.I. 3.6, mPAP 17mmHg, PCWP m7mmHg.負荷後: HR106/min, C.I. 7.7, mPAP 18mmHg, PCWP m7mmHgと肺高血圧の進行なく, 妊娠前にマシテンタンの中止後再度ISP評価予定. 3.34歳男性, TAPVC3型に対して修復術後,心エコー図検査にて左房入口部血流速度1.6m/sと軽度加速あり.NYHA1度で循環器内科移行前の評価としてISP負荷施行.負荷前: C.I. 2.3, mPAP 9mmHg, PCWP m4mmHg, LVEDP 4mmHg.負荷後: HR115/min, C.I. 4.3, mPAP m9mmHg, PCWP m4mmHg, LVEDP 4mmHgとPCWPとLVEDP≒LAの圧較差を認めず.術後経過良好として循環器内科へ移行予定である.【結語】TAPVRの成人期の評価においてISP負荷は運動時や妊娠時の評価につながり成人移行前の評価として有用である.