講演情報
[III-P03-3-03]難治性気道出血に対してGoreR VIABAHNR Stent Graftを留置した成人先天性心疾患患者2症例
○西野 遥1, 松尾 久実代1, 海陸 美織1, 加藤 周1, 長野 広樹1, 林 賢1, 森 雅啓1, 浅田 大1, 石井 陽一郎1, 津村 早苗2, 青木 寿明1 (1.大阪母子医療センター 循環器科, 2.大阪母子医療センター 心臓血管外科)
キーワード:
側副血行路、難治性気道出血、VAIABAHN
【はじめに】肺血流減少型心疾患に対して側開胸でのBTシャント術が施行されるが、術後側副血管(APCA)の発達が問題となる。APCAにより遠隔期に肺出血、喀血を繰り返す症例があり、コイル塞栓術が施行される。今回、難治性気道出血に対して、コイル塞栓術を繰り返すも、出血がコントロール困難で、救命目的にGoreR VIABAHNR Stent Graftを留置し、出血コントロールをし得たので報告する。【症例1】28歳女性。CAVC/TOFに対して日齢29に左BTシャント、8ヶ月時に右BTシャント、3歳時に心内修復術施行。25歳時に喀血あり、右鎖骨下動脈瘤を認めた。同部位にベアメタルステント留置とコイル塞栓術(計10本)を施行。28歳時に再度喀血あり。右鎖骨下動脈からのAPCAに対してコイル塞栓術(計20本)を行うも、8日後に大量喀血し挿管管理となった。残存するAPCAはアプローチ困難であり、右鎖骨下動脈に対してVIABAHN5mm*25mmを留置。3日後に抜管し、以降気道出血なく経過。【症例2】19歳女性。PA/IVSに対して日齢43に右BTシャント、1歳4ヶ月時にグレン、3歳時にフォンタン術施行。5歳時に喀血あり。以降、難治性気道出血に対して計11回、300本以上のコイルで塞栓術を施行。20歳時に感冒契機に挿管管理となった際に気道出血あり。出血コントロールが困難で、high peepを要し、フォンタン循環悪化し、緊急カテーテル治療を施行。右鎖骨下動脈に対して、VIABAHN5mm*50mm,5mm*25mm留置とコイル塞栓術(計7本)を行った。カテ後7日で抜管し、以降気道出血なく経過。【考察】VIABAHNは参照血管径4.0~12.0mmの胸部・腹部・骨盤内の動脈に外傷性または医原性血管損傷に対する緊急処置に適応となる。2症例共に側開胸でのB Tシャント術後で細かいAPCAの発達が著名でコイル塞栓術を繰り返すも出血コントロールが困難であり、院内倫理委員会承認後VIABAHNを留置した。APCAに対しても救命目的でのVIABAHN留置は有効な治療選択肢になると考えられた。