講演情報

[III-P03-3-06]Harmony TPVI後バルーン後拡張時にフレームが移動してperi-valvar leakageを来した1症例の転帰

西岡 真樹子, 北野 正尚, 渡邊 康大, 長元 幸太郎, 吉野 佳佑, 島袋 篤哉 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科)
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キーワード:

Harmony TPVI、frame migration、peri-valvar leakage

【背景】Harmony弁留置後の合併症にframe migration (FM)が知られている。Post balloon dilation (PBD)時にFMを来たし、peri-valvar leakage (PVL)が残存した症例の転帰を報告する。
【症例】25歳 男性。2か月時にファロー四徴症に対してtransannular patchを用いた心内修復術後を施行した。1歳時から外来受診が中断となり、23歳時に半月板損傷の術前検査で再度当科に紹介された。23歳時の心臓MRI検査で肺動脈弁逆流率 55.6%、右室拡張末期容積 151ml/m2、右室拡張末期容積/左室拡張末期容積 2.15であることから右室流出路再建術の適応ありと判断し、25歳時にHarmony TPVIを施行した。造影CT3次元構築像で主肺動脈は収縮期に最大49mmと拡大していて弁輪部は33mmであった。Supra-annular position留置を狙って、row1-2展開後にrow3-6を素早く展開しデタッチした。row 2-3の右側がkinkして圧着が不十分と判断し、25mm Z-MED2を用いてPBDを追加した。Balloon拡張の際に、balloonとframeが遠位にslipしrow1-2の一部は反転した。Frameの遠位部と近位部のceilingが不十分でPVL mildが生じたが、valvar PSRはなく、frameと血管壁の癒着が進みleakageが消失するのを期待して手技を終了した。POD 1に非持続性心室頻拍を認めたためソタロールを開始してPOD 2に退院した。Harmony TPVI後1か月時の心エコーでは、PSRはなく、PVLはほぼ消失していた。
【考察】Harmony TPVI後にframeの固定が不十分な場合のPBDはFMの危険があるので要注意である。Frameの一部が変形してPVLが生じても、valvar PSRがないことが肝要であり、frameと血管壁の癒着が進めばPVLは自然消退する。