講演情報
[III-P03-3-07]メチシリン感受性黄色ブドウ球菌の感染により、Harmony transcatheter pulmonary valve (Harmony TPV) 抜去を行なった感染性心内膜炎の1例
○矢尾板 久雄1, 鈴木 大1, 大田 千晴1, 石垣 瑞彦2 (1.東北大学 大学院医学系研究科 発生・発達医学講座 小児病態学分野, 2.静岡県立こども病院 循環器科)
キーワード:
経カテーテル肺動脈弁留置術、感染性心内膜炎、Harmony TPV
背景
近年になり、先天性心疾患術後の肺動脈弁閉鎖不全症を対象としたMedtronic HarmonyTM Transcatheter Pulmonary Valve Replacement systemの使用による経カテーテル肺動脈弁留置術 (TPVI) が日本で本格的に施行されており、低侵襲な治療として注目が集まっている。 一方で新しい治療であるがゆえ、感染性心内膜炎を初め合併症の報告は未だに少ない。
症例
ファロー四徴症に対して心内修復術を受けた女性が、30代前半で肺動脈弁閉鎖不全症による右室拡大のためHarmony TPVを用いたTPVIを施行した。施行14か月後より患者は再発性歯肉炎を発症し、歯科治療を受けた。TPVIから19か月後に発熱し、肺炎の診断で前医にて抗生剤加療を開始したが、十分な解熱は得られず、当院紹介入院となった。精査の結果、Harmony TPVに対するメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)感染と診断した。適切な抗菌薬投与を行なったが感染のコントロールは不良であった。入院11日目、外科的に肺動脈弁置換術を行いHarmony TPVは摘出された。摘出したHarmony TPVには疣贅が多数付着していた。術後は抗菌薬加療のみで状態は安定し、術後42日で退院となった。
考察
本症例は感染性心内膜炎によりHarmony TPV摘出を行なった日本で初の症例報告である。今回はTPVI後19か月ということもあり、Harmony TPVの癒着は強くなかったため、摘出は可能であったが、右室側の筋組織に内挿されている部分は組織に入り込む形になっていた。そのため、今後本症例よりTPVI後の時間が経過している症例でHarmony TPV摘出の必要がある場合、Harmony TPVの右室心筋癒着の可能性を考慮に入れる必要があることが示唆された。
また、今回同定されたMSSAは、歯肉炎や歯科処置を繰り返す間に、口腔内からこの患者の血流に入った可能性がある。改めて歯科処置の際の適切な抗生物質使用と口腔ケアの重要性が示唆された。
近年になり、先天性心疾患術後の肺動脈弁閉鎖不全症を対象としたMedtronic HarmonyTM Transcatheter Pulmonary Valve Replacement systemの使用による経カテーテル肺動脈弁留置術 (TPVI) が日本で本格的に施行されており、低侵襲な治療として注目が集まっている。 一方で新しい治療であるがゆえ、感染性心内膜炎を初め合併症の報告は未だに少ない。
症例
ファロー四徴症に対して心内修復術を受けた女性が、30代前半で肺動脈弁閉鎖不全症による右室拡大のためHarmony TPVを用いたTPVIを施行した。施行14か月後より患者は再発性歯肉炎を発症し、歯科治療を受けた。TPVIから19か月後に発熱し、肺炎の診断で前医にて抗生剤加療を開始したが、十分な解熱は得られず、当院紹介入院となった。精査の結果、Harmony TPVに対するメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)感染と診断した。適切な抗菌薬投与を行なったが感染のコントロールは不良であった。入院11日目、外科的に肺動脈弁置換術を行いHarmony TPVは摘出された。摘出したHarmony TPVには疣贅が多数付着していた。術後は抗菌薬加療のみで状態は安定し、術後42日で退院となった。
考察
本症例は感染性心内膜炎によりHarmony TPV摘出を行なった日本で初の症例報告である。今回はTPVI後19か月ということもあり、Harmony TPVの癒着は強くなかったため、摘出は可能であったが、右室側の筋組織に内挿されている部分は組織に入り込む形になっていた。そのため、今後本症例よりTPVI後の時間が経過している症例でHarmony TPV摘出の必要がある場合、Harmony TPVの右室心筋癒着の可能性を考慮に入れる必要があることが示唆された。
また、今回同定されたMSSAは、歯肉炎や歯科処置を繰り返す間に、口腔内からこの患者の血流に入った可能性がある。改めて歯科処置の際の適切な抗生物質使用と口腔ケアの重要性が示唆された。