講演情報

[III-P03-3-08]Harmony不適合症例からみたファロー四徴症根治術

松沢 拓弥1, 小森 悠矢1, 正谷 憲宏1,2, 矢崎 諭2, 高橋 幸宏1, 和田 直樹1 (1.榊原記念病院 心臓血管外科 小児, 2.榊原記念病院 小児循環器内科)
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キーワード:

ファロー四徴症、PVR、TPVI

目的:ファロー四徴症根治術の際にvalve sparing(VS)またはtransannular patch(TAP)を施行した場合も遠隔期に逆流が生じPVRが必要になる可能性が知られている。近年TPVIにより、外科手術の回数を減らし患者の負担を軽減できるようになった。しかし解剖学的にTPVIを使用できない症例もある。どのような解剖学的特徴がTPVIの適応とならないかを知ることで、根治術の際に外科的に留意すべき点を検討する。対象:2018年11月から2024年12月までで当院でファロー四徴症根治術遠隔期のHarmonyのFit analysisを行った44例を対象とした。結果:Fit analysis時の年齢中央値は35.2歳(15-70歳)。開胸手術回数中央値は1回 (1-4回)。根治術の右室流出路再建方法はTAP 25例、VS 4例、詳細不明 15例であった。根治術の際の同時手術はbranch PA plasty 4例であった。Fitting analysis時の合併病変はbranch PA stenosis 6例 (13.6 %)、AR 2例 (4.5 %)、TR 1例 (2.3 %)、residual VSD 4例 (9.1 %)、右冠動脈左バルサルバ洞起始1例 (2.3 %)であった。Fit analysis適合は27例 (61.4 %)、不適合17例 (38.6 %)であった。Fit analysis適合のうち5例(18.5 %)がsurgical PVRを行った。理由は同時手術が必要な症例 2例 (AVR 1例、TVR 1例)、年齢を考慮 2例、患者希望 1例であった。Fit analysis不適合となった理由は、branch PS 5例、Main PAがover size 7例、MPAが短くLanding zone不足 5例、高度石灰化 1例、冠動脈圧迫リスク 3例であった。考察:Fit analysisを受けた患者のうち、実際にTPVI施行したのは24例 (54.5 %)であった。残りの20例のうち、根治術を工夫することでTPVI可能な解剖学的条件になり得るのは冠動脈圧迫リスクを指摘された右冠動脈左バルサルバ洞起が考えられた。branch PS 5例中4例は根治術の際にパッチ拡大されていたが、遠隔期には同部位に再狭窄が生じており、形成の方法や材質も検討が必要と考えられた。