講演情報
[III-P03-3-09]TPVI時代にACHD診療を担う中堅施設におけるSurgical PVRを振り返る
○正本 雅斗1, 中野 裕介1, 山本 嵩1, 五十嵐 大二1, 河合 駿1, 渡辺 重朗1, 中島 理恵2, 森 佳織3, 立石 実3, 齋藤 綾3 (1.横浜市立大学附属病院 小児循環器科, 2.横浜市立大学附属病院 循環器内科, 3.横浜市立大学附属病院 心臓血管外科)
キーワード:
TPVI、ACHD、PVR
【背景】ACHD患者の増加を念頭に、当院でも経皮的肺動脈弁置換術(Harmony-TPVI)を導入したが、Surgical PVRとの治療法の選択に逡巡する場合も多い。【目的】Surgical PVR症例を後方視的に検討して、当院におけるHarmony-TPVIのニーズを探ること。【方法】対象は2010年から24年にSurgical PVRを行った40例、術前後データを診療録から収集して後方視的に検討した。【結果】PVR時年齢の中央値35歳(11歳-59歳)、術後フォロー期間は中央値5.9年(0.9年-14.5年)。原疾患はTOF/DORV+PS 37例、PA/VSD 1例、TGA 2例。PVR適応理由はPR 32例、PSR 3例、PS 5例。高度癒着などSurgical PVRがHigh Riskと予想される症例を12例認めた。使用した弁はCEP 19例(Size 21-27mm)、Inspiris 15例(Size 23-27mm)、Epic 6例(Size 21-27mm)。周術期死亡はなかったが、遠隔期死亡を2例認めた。重症周術期合併症は声門下狭窄、洞不全症候群、S状結腸穿孔をそれぞれ1例認めた。術後PRはmild以下34例、moderate4例、severe2例であったが、2例のrePVR(術後10-11年、いずれもPSR)を要した。【考察】High Riskと予想された症例を含めてSurgical PVRの成績は良好だが、一定の割合で合併症も認めた。現状では若年患者では、大きめの生体弁を用いたSurgical PVRが第一選択だが、開胸リスクのある症例や40から50歳以降ではHarmony-TPVIが初回再介入の選択肢になりうる。当院に通院している将来的なPVR候補患者は現時点で150名おり、新規ACHD患者も年間約60名である。今後10-15年で介入が必要とするとHarmony-TPVIには約5例/年の潜在的ニーズがあると思われる。【結論】Harmony-TPVIはSurgical PVRがhigh riskな症例では第一選択になるが、low riskでもテーラーメードな方針決定の中で選択される症例が出てくる。Harmony-TPVIの国内での中長期成績の蓄積が望まれる。