講演情報

[III-P03-4-07]心炎としてAR を生じたリウマチ熱の1例

佐久間 光志, 船生 晴香, 市川 泰広 (済生会横浜市東部病院 小児科)
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キーワード:

リウマチ熱、AR、溶連菌

【はじめに】リウマチ熱はA群β溶結性連鎖球菌(Group A Streptococcus, 以下GAS)感染症に続発する急性の非化膿性炎症で弁膜症をはじめとした心炎を合併する.日本小児循環器学会による2016年の希少疾患サーベイランスでは5例の報告にとどまるほど近年は稀であるが、50-80%の症例で心炎を合併し, 心不全をきたすリスクがある. GASの先行感染を示唆する所見+修正Jhones基準の大基準である舞踏運動, 心炎(大動脈弁逆流症, 以下AR)の2つを満たし, リウマチ熱の診断に至った1例を経験したので報告する. 【症例】5歳, 男児. 動揺性歩行, 構音障害, 座位保持困難, 不随意運動, 舞踏運動で受診した. ASO 320倍と高値で, GAS心エコーの先行感染を示唆する所見を認めた. 心エコー検査で大動脈弁尖の肥厚を認め, 3尖の中央からAR mild を認め心炎と診断した.以上よりリウマチ熱と診断した.NT-proBNP高値やXp での心拡大等心不全示唆する所見に乏しく, 心電図でもPR間隔延長等の伝導障害は認めなかった. 舞踏運動及び心炎に対してmPSL pulse 2クールと後療法としてPSL内服, ASA抗炎症量での内服を行った.その後, 舞踏運動, ARは経時的に改善した. リウマチ熱の再発予防として抗菌薬内服を継続し, 現在外来で経過フォローしている. 【まとめ】溶連菌感染症の早期診断, 早期治療が行われているため, リウマチ熱はまれな疾患になった. 昨今のように溶連菌感染症の流行時はリウマチ熱の症例が増えることは懸念される.GAS感染の合併症としてリウマチ熱を忘れてはならない.