講演情報
[III-P03-4-09]過去18年間の感染性心内膜炎治療経験から
○吉田 朱里1, 宗内 淳1, 峰松 優季1, 田中 惇史1, 峰松 伸弥1, 池田 正樹1, 豊村 大亮1, 清水 大輔1, 杉谷 雄一郎1, 渡邉 まみ江1, 落合 由恵2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.JCHO九州病院 心臓血管外科)
キーワード:
感染性心内膜炎、カテーテル感染症、術後感染症
【目的】小児感染性心内膜炎(IE)の多くは先天性心疾患(CHD)に関連し、周術期に生じるものも多い。本研究はIEの臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。【対象】2007~2024年の過去18年間におけるIE治療例の背景疾患・起炎菌・治療法を後方視的に検討した。診断は日本循環器学会ガイドラインに準拠した。【結果】対象は20例(男10例)、診断時年齢2歳(0-41)。CHD関連17例(85%)で、うち3例は染色体異常合併例、3例は基礎疾患なし。契機特定15例において心臓手術関連9例(心内修復後8例、姑息術後4例、未修復5例、術後創部感染1例)、歯科治療2例、ペースメーカ(PM)感染2例、ルート感染2例。最終手術からIE発症までの期間は8か月(2週-10年)であり、術後6か月以内が6例、術後5年以上が4例。血液培養陽性16例で、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌7例、メチシリン耐性ブドウ球菌2例、肺炎球菌2例、その他5例であり、基礎疾患のない3例はすべて口腔内常在菌。疣贅は18例(90%)で確認され、経胸壁エコーで確認できたのが14例、経食道エコーや造影CTなど他のモダリティーにより診断されたのが4例。抗菌薬投与による保存的加療のみを行われたのは10例で、抗菌薬投与期間は47(5-117)日。弁破壊・逆流に対して手術加療を要したのは6例(大動脈弁3例、僧帽弁2例、三尖弁1例)で発症後104(16-224)日に手術介入。その他の介入はPMリード抜去2例、術後創部デブリードマンのみ1例、人工血管内血栓除去1例。IEによる大動脈弁周囲炎による死亡例が1例。【考察】周術期関連IEは30%であったが、遠隔期でのIE発症も多い。周術期は心膜切開後症候群による発熱との鑑別が必要で、より積極的な血液培養採取が望まれる。遠隔期IEの契機では歯科治療が最多であり患者教育の重要性が再認識された。小さな変化から積極的にIEを疑い早期診断に結びつけてゆくことが望まれる。