講演情報

[III-P03-4-10]小児循環器の診療・学術・研究に必要な競争的資金の取得:経験から採択に必要な手掛かりを考察する

白石 公1, 大内 秀雄1,2, 黒嵜 健一1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 成人先天性心疾患科)
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キーワード:

競争的研究費、科学研究費、AMED

最近の診療手順の煩雑さや医師不足、更には働き方改革により、大学や一般病院を問わず、研究や学術活動に時間を割く余裕が年々少なくなる傾向にある。しかしながら、診療と研究(臨床及び基礎)は車の両輪であり、どちらか一方が欠けても患者を幸せにすることはできない。研究力を養うことは臨床現場で問題解決力を高めることに繋がり、一方で患者を診ることから出た疑問は、意義深い研究課題の発案に繋がる。このような研究実施において最も上流に位置するのが競争的研究費の獲得である。申請書を書くためには、過去の論文を読み、頭を整理し、仮説を立てて研究方法を論述する必要があり、医師・医学者として重要なトレーニングになる。本演題では演者がこれまでに申請し採択された学術振興会科学研究(JSPS)12、厚生労働科学研究(mhlw)10、AMED医療機器開発研究(AMED)5課題を、非採択4課題と定性的に比較検討した。JSPS研究では流行を追わず独自の課題を提案し、動機と考察を臨床課題と関連付け、preliminaryなdataを必ず記載し、仮説とそれに対する解決方法を論述する。予備結果がなく実現可能性の低い申請は採択されない。mhlw研究では、厚労省が要求する社会課題を解決することを目的とするので、まず公募要項を読み込み、preliminaryなdataや自分たちが発刊した論文を引用しながら研究内容を論述し、学術的な意義よりも患者への還元を強調するとともに、医療費の抑制につながる研究であることを述べる。最後にAMED開発研究では、公募要項、特に研究内容の部分を一言一句見落とすことなくAMEDの要求に沿うようにする。ここでもpreliminaryなdataと科学的な研究内容の論述は必須である。そして導出企業を含めたコンソーシアムの体制、役割分担、事業化への道筋を、審査委員が納得する形で丁寧に記載する必要がある。自身の経験に基づく定性的な検討ではあるが、これから研究を行う先生方の目安になれば幸甚である。