講演情報
[III-P03-5-01]学校心臓検診を契機に診断されたJervell and Lange-Nielsen症候群の姉妹例
○中村 龍太1, 本田 崇1, 羽田 瑠美1, 高梨 学1, 北川 篤史1,2, 木村 純人1,3, 平田 陽一郎1, 石倉 健司1 (1.北里大学医学部小児科学, 2.榛原総合病院小児科, 3.北里大学メディカルセンター小児科)
キーワード:
Jervell and Lange-Nielsen症候群、QT延長症候群、学校心臓検診
【背景】Jervell and Lange-Nielsen症候群(JLNS)は先天性感音難聴とQT延長症候群(LQTS)を合併する常染色体潜性遺伝の稀少疾患である。学校心臓検診を契機に診断されたJLNSの姉妹例を報告する。
【症例】症例は8歳と5歳の姉妹例。若年での突然死の家族歴はない。姉は4歳時に有意語がないことを契機に耳鼻科を受診し、両側の中等度難聴と診断された。遺伝診療部への紹介を検討されたが、通院の中断があり受診に至らなかった。5歳時と6歳時には驚愕した際に失神したが小児科受診をしていない。小学校の学校心臓検診でQT延長を認め、当科を受診した。12誘導心電図でQTc 534 msec、Schwartzのリスクスコア6.5点であり、LQTSと診断した。β遮断薬(ナドロール)を開始し、以後失神は認められていない。遺伝学的検査でKCNQ1の複合ヘテロ接合体が確認されJLNSと確定診断した。運動制限、家族へのBLSトレーニング、学校との情報共有を行いながら注意深く経過観察している。妹は1歳時に両側性の高度難聴と診断されていた。失神の既往はなかった。姉のLQTSの診断を契機に当科を受診し、QTc 554 msec、リスクスコア5.5点であり、ナドロールを開始した。遺伝学的検査で姉と同じKCNQ1の複合ヘテロ接合体を認めJLNSと診断した。
【考察】JLNSは突然死のリスクが高い疾患であるため早期の診断が望まれる。診断には難聴の合併、失神の既往や突然死の家族歴の聴取が重要であるが、通院アドヒアランスが低い本症例では学校心臓検診が診断の契機であった。β遮断薬は心イベントの抑制に有効であるが、完全には突然死を予防できないため、ICD植え込み、ペースメーカ留置、左心交感神経切除術の施行も検討しながら注意深く経過観察を続ける必要がある。
【結語】通院のアドヒアランスが低い遺伝性不整脈疾患の患者において、その診断契機として学校心臓検診は有用である。
【症例】症例は8歳と5歳の姉妹例。若年での突然死の家族歴はない。姉は4歳時に有意語がないことを契機に耳鼻科を受診し、両側の中等度難聴と診断された。遺伝診療部への紹介を検討されたが、通院の中断があり受診に至らなかった。5歳時と6歳時には驚愕した際に失神したが小児科受診をしていない。小学校の学校心臓検診でQT延長を認め、当科を受診した。12誘導心電図でQTc 534 msec、Schwartzのリスクスコア6.5点であり、LQTSと診断した。β遮断薬(ナドロール)を開始し、以後失神は認められていない。遺伝学的検査でKCNQ1の複合ヘテロ接合体が確認されJLNSと確定診断した。運動制限、家族へのBLSトレーニング、学校との情報共有を行いながら注意深く経過観察している。妹は1歳時に両側性の高度難聴と診断されていた。失神の既往はなかった。姉のLQTSの診断を契機に当科を受診し、QTc 554 msec、リスクスコア5.5点であり、ナドロールを開始した。遺伝学的検査で姉と同じKCNQ1の複合ヘテロ接合体を認めJLNSと診断した。
【考察】JLNSは突然死のリスクが高い疾患であるため早期の診断が望まれる。診断には難聴の合併、失神の既往や突然死の家族歴の聴取が重要であるが、通院アドヒアランスが低い本症例では学校心臓検診が診断の契機であった。β遮断薬は心イベントの抑制に有効であるが、完全には突然死を予防できないため、ICD植え込み、ペースメーカ留置、左心交感神経切除術の施行も検討しながら注意深く経過観察を続ける必要がある。
【結語】通院のアドヒアランスが低い遺伝性不整脈疾患の患者において、その診断契機として学校心臓検診は有用である。