講演情報
[III-P03-5-03]小児QT延長症候群2/3の児における頻脈時のQT時間の年齢変化と発作リスク
○馬場 俊輔1, 野竹 慎之介1, 橘高 恵美1, 古河 賢太郎1, 伊藤 怜司1, 星野 健司2 (1.東京慈恵会医科大学附属病院 小児科学講座, 2.埼玉県立小児医療センター 循環器科)
キーワード:
QT延長症候群、トレッドミル検査、心イベント
【背景、目的】QT延長症候群(LQTS)の原因遺伝子検索が広く行われるようになり、その大半を占めるLQTS1-3の遺伝子診断症例が多くなっている。その中で、致死性不整脈を引き起こすリスク分類として頻脈時のQT時間の変化の所見が知られているが、年齢に伴い頻脈時のQT時間がどのように変化するかはあまり知られていない。昨年はLQTS1について考察したが、今回、LQTS2/3の児の安静時、頻脈時のQT時間について診断型、性別、発作の関連を後方視的に調べた。【方法】1996年4月から2024月2月までの間に、遺伝子検査にてLQTS2または3と診断された15症例(2型9例/3型6例、男児4/3例、女児5/3例)について、安静時心電図、トレッドミル心電図、ホルター心電図の安静時と頻脈時のQT時間の年齢における推移を調査した。なお、基礎疾患症例や複合変異症例は除外した。【結果、考察】LQTS2/3について、心イベントは4/1(男児2/1例、女児2/0例)に発生し、致死的心イベントは新生時期にTdPを認めたLQTS2男児の1例のみであり、その他はすべて12歳以上の症例であった。安静時頻脈時のQTc時間は、年齢とともにLQTS2に関して男児では短縮し、女児では延長する傾向があり、LQTS3に関してはほぼ変化が見られなかった。また、LQTS2に関しては、心イベントを認める男児女児とも頻脈時のQTc時間が年齢とともに延長する傾向が見られ、年齢とともに頻脈時のQTc時間が延長する児は心イベントリスクのある可能性が示唆された。