講演情報
[III-P03-5-06]食道誘導心電図が診断に有用だった新生児間欠性WPW症候群の1例
○草野 智佳子1, 池田 英史2, 大塚 雅和2, 桑原 義典2 (1.長崎みなとメディカルセンター小児科, 2.長崎大学病院 小児科)
キーワード:
食道誘導心電図、WPW症候群、上室性頻拍
【背景】不整脈診断においてP波の同定は重要であり、P波を明瞭に記録可能な食道誘導心電図は、不整脈診断にきわめて有用である。【症例】DD双胎第2子女児。在胎34週0日、体重1671g、緊急帝王切開で出生した。出生後は呼吸障害・無呼吸発作のため日齢14までHFNC等の呼吸管理を行った。日齢16(修正36週3日)哺乳後に心拍数300bpmのnarrowQRS頻拍が出現し、アイスバッグ法で洞調律へ復帰した。その後も哺乳時に同様の頻拍発作を繰り返すため、精査加療目的で日齢17に当院に転院した。心臓超音波検査では先天性心疾患や心筋症の合併はなく、心機能低下も認めなかった。入院時心電図は洞調律でΔ波を認めなかったが、別日に行った心電図でΔ波を認め、間欠性WPW症候群と診断した。頻拍発作時の体表面12誘導心電図はP波の確認が困難だったが、食道誘導心電図でQRS波の後に逆行性P波を認め、shortRP’の正方向性AVRTと診断した。また、副伝導路の位置についてはV1誘導のみをArrudaアルゴリズムに従って判断すると一見B型(右側自由壁側)に見えるが、頻拍発作時のP’波の極性も含めて考えるとA型(左側自由壁~後壁側)と推測された。narrowQRS頻拍に対し日齢30プロプラノロール内服開始したが、その後も数秒の発作が繰り返し出現し、日齢43ジギタリス内服追加後も改善なかった。日齢55フレカイニド内服変更後は発作頻度が減少したため自宅退院し、1歳までに明らかな頻拍発作は認めていない。【考察】本症例は入院中に食道誘導電極入り胃管を留置し、発作時心電図を捉えることができた。短時間・頻度の少ない頻拍発作の記録は難易度が高いが、当科で行った発作時心電図の記録方法や食道誘導電極の作成工夫を提示する。