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[III-P03-5-07]病歴聴取と運動負荷心電図の重要性を再認識したカテコラミン誘発多形性心室頻拍例

石橋 信弘, 山田 洸夢, 石橋 洋子, 本村 秀樹 (国立病院機構 長崎医療センター 小児科)
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キーワード:

CPVT、病歴聴取、運動負荷心電図

【背景】カテコラミン誘発多形性心室頻拍 (CPVT) は、失神や運動中の突然死の原因となる疾患である。しかし、小児の失神はてんかん、迷走神経反射、起立性調節障害由来が多く、これらと初期診断されることもある。3回の失神後にCPVTと診断した8歳男児について、病歴聴取と運動負荷試験の重要性を改めて認識したので報告する。【症例】5歳時に節分で鬼を怖がり、座位で失神した。胸骨圧迫とAED装着されたがショック作動なく速やかに意識回復し当院へ搬送された。安静時心電図では異常なく、AED心電図波形でも期外収縮や心室頻拍認めなかった。不整脈の可能性は否定できないが初回発作であり、迷走神経反射も考え再発時に再精査とした。6歳時に運動時の失神があったが病院を受診しなかった。8歳時に小学校の徒競走直後に失神し、胸骨圧迫とAED装着開始された。ショック作動はなく速やかに意識は回復し当院へ搬送された。安静時心電図では洞性徐脈 (HR 56回) 以外の異常所見は認めなかったが、モニター心電図で体動時に心室性期外収縮を認めた。また、AED心電図波形でも心室性期外収縮を認めたので、ホルター心電図、運動負荷心電図を行った。HR 120回前後で心室性期外収縮が出現し、二方向性心室頻拍へ移行していた。遺伝子検査で心筋リアノジン受容体 (RyR2) に既知の病的バリアントを認め、CPVTと確定診断した。β遮断薬とフレカイニドの内服、運動制限を開始した。治療開始後は心臓イベントなく、神経学的後遺症もなく経過している。【考察】失神において、発作時状況、症状の病歴聴取は大切であり、特にCPVTでは運動や精神的興奮を契機に心室頻拍が誘発されるため、その確認が非常に重要である。また、安静時検査では診断が困難であり、運動など負荷心電図検査をする必要がある。2回目の失神時には受診されておらず、安静時検査のみでは診断困難な疾患があることを家族にしっかり説明することも重要と考えられた。