講演情報
[III-P03-5-09]右相同心の発作性上室性頻拍の臨床経過
○宮崎 文1,2, 内山 弘基1,4, 井上 奈緒1,2, 曹 宇晨3, 八島 正文3, 小出 昌秋3, 中嶌 八隅1,2 (1.聖隷浜松病院小児循環器科, 2.聖隷浜松病院成人先天性心疾患科, 3.聖隷浜松病院心臓血管外科, 4.浜松医科大学小児科)
キーワード:
右相同心、発作性上室性頻拍、無脾症候群
【背景】 右相同心 (RAI)ではTwin AV node reciprocating tachycardiaを代表とする発作性上室性頻拍 (PSVT)がみられるが, その臨床経過に関する報告は限られる. 【目的】 RAIにおけるPSVTの臨床経過を明らかにし, 最適な治療戦略を検討する. 【方法】 1994年以降に当科で診療したRAI 27人 (観察期間終了時年齢 中央値 14.1, 0.7-47.0歳)を対象に, Twin AV nodes (TAVN)の有無, PSVTの臨床像を, 後方視的に診療録を用いて検討した. また, TAVNを有する患者のQRS幅の変動を, 左相同心/房室錯位を除いたFontan手術を施行した単心室血行動態症例と比較した. Twin AV nodesはΔ波を有しないQRS波形が1つの心電図に二種類, または3年以内の心電図にみられるものとし, PSVTは1:1の房室伝導がみられる回帰性頻拍とした. 【結果】TAVNは19人 (70.3%)に確認され, うち7人で2種類のQRS波形の融合波形が確認された. PSVTは8人 (29.6%)で発症し, 初発時年齢は中央値 3.1, 1.0-27.9歳で, 全例でTAVNがみられた. PSVT累積回避率は10歳で66%, 20歳で44%であった. 5人にβ遮断薬, Digoxin, Sotalol投与され良好にコントロール良好され, うち2人がPSVT関連なく死亡した. 1人はFlecainide投与中にもコントロール不良で, 心不全で死亡した. 1人は胃破裂術後周術期にPSVTを発症し, 全身状態悪化で翌日死亡した. 1人は, 初回発作のみで無投薬で観察された. 0-10歳間, 0-20歳間のQRS幅の変化 (ms)は, TAVNを有するRAI群とFontanコントロール群で, それぞれ (32.6±7.5 (n=7) vs. 23.0±9.0 (n=37), p=0.01), (54, 36-60 (n=3) vs.32, 20-64 (n=15), p=0.07)であった. 【結語】RAIにおけるPSVTは, TAVNを有する症例で高率に発生し, 房室結節を抑制する薬剤が有効である. TAVNを有する症例では, QRSは両房室結節で形成されており, 加齢によるQRS幅の増大が, 他の単心室血行動態疾患より大きい可能性がある.