講演情報

[III-SY7-3]地方における小児循環器医のキャリア形成・経験と課題と未来に向けて

檜垣 高史 (愛媛大学大学院医学系研究科 小児・思春期療育学講座)
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小児循環器医療は、高度な専門性と集中治療が求められる領域である。その一方で、小児循環器医・小児心臓外科医は全国的に不足しており、また地方大学では幅広い専門分野のある小児科全体の医師数が限られている中で、ディープサブスペシャリティを担うスタッフの十分な配置は容易ではない。その結果、若手医師育成の基盤(症例数・指導体制・教育プログラム)は十分とは言えず、質と量の両面で安定した育成が求められている。また、専門医育成の継続には、労働基準法に基づく勤務環境整備やタスクシフトなどの実効ある対策も不可欠となる。
このような現状に対して、症例検討会、術前・術後カンファレンス、ハンズオンセミナー、リサーチカンファレンスなど、多様な教育プログラム導入が必要である。課題解決の鍵としては、①大学病院と地域基幹病院の連携強化、②症例数を確保する広域連携ネットワーク構築、③オンラインも用いた研修・遠隔カンファレンスの積極導入、④地域特性に応じた施設認定制度の見直しによる診療アクティビティの維持、⑤医学生へのアーリーエクスポージャー機会の提供、⑥若手医師・指導医向けキャリア形成プログラムの整備、などが有効な方策としてあげられる。
地方における小児循環器医のキャリア形成のためには、「拠点化による専門性維持」「地域基幹病院の育成機能強化」の両立を図ることが求められる。
発表の機会をいただいたことを機に、愛媛県におけるキャリア形成を検討する好機と位置づけ、地方における小児循環器医育成の課題と未来への実践的な解決策を、深化させる契機としたいと考えます。