講演情報

[III-SY7-4]都市部における小児循環器科医のキャリア形成・経験の課題とその解決策

前田 潤 (東京都立小児総合医療センター循環器科)
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キーワード:

小児循環器医、キャリア形成、都市部

東京都内の小児循環器専門医数は、2025年4月現在102名で、そのうち76名(75%)が、専門医を養成する16の研修施設(基幹施設11、連携施設5)に在籍している。人口の多い東京都では小児循環器患者数も多いが、16研修施設中13施設が23区内にあり、各施設が競合する診療環境にある。また、様々な事情により、都内で小児循環器の研修、キャリア形成を希望する医師も少なくない。このため、専門医取得に必要な数の臨床経験を積むこと、心臓カテーテルや心エコー、運動負荷試験などの手技を習得することが不十分な場合がある。さらには施設によっては、不整脈、胎児診断、心臓カテーテル治療などのより専門的な分野や、学会発表、論文作成に対する指導が困難な状況があり得る。小児循環器専門医の取得ならびに取得後の小児循環器診療の質の維持のためには、施設間の連携による研修機会の増加、やオンラインカンファレンスの定期開催等を通じて、各研修施設における研修内容の差異を最小化することが求められる。都市部において、ワークライフバランスを維持しながら、小児循環器医の良質なキャリア形成をいかに進めるべきか、自らの反省も交えつつ述べてみたい。