講演情報

[III-SY8-3]希少難病疾患の多施設症例登録によるレジストリ研究

土井 庄三郎1, 石井 卓2, 内田 敬子3, 住友 直文4, 細川 奨5, 石田 秀和6, 福島 裕之7, 高月 晋一8, 小垣 滋豊9, 山岸 敬幸10 (1.東京科学大学 医学部 小児科, 2.東京科学大学 大学院 茨城県小児周産期地域医療学, 3.東京医科大学 医学部 細胞生理学講座, 4.慶応義塾大学 医学部 小児科, 5.武蔵野赤十字病院 小児科, 6.大阪大学 医学部 小児科, 7.東京歯科大学 市川総合病院 小児科, 8.東邦大学医療センター 大森病院 小児科, 9.大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科, 10.東京都立小児総合医療センター 小児循環器科)
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キーワード:

肺高血圧症患者レジストリ、希少難病疾患、RWD

2010年頃は乱立していた成人の肺高血圧症患者レジストリは、2017年に日本肺高血圧・肺循環学会JPCPHSが、日本肺高血圧症患者レジストリ Japan PH Registry (JAPHR) を支援し1本化した。徐々に充実し現在では臨床分類1群~5群のすべてを包含している。現在NPO法人のJAPHRの前身は2012年度から厚労科研補助金、2018~2019年度はAMED補助金により、また4群も当初はAMED補助金により運用されていた。 一方、小児肺高血圧症レジストリも同時期から構想があり、2021年度に先天性心疾患を伴う肺高血圧症患者レジストリJACPHRが、AMED補助金により設立された。JPCPHS、JAPHR、難治性疾患政策研究班や患者会の支援のもとで運用され、2025年度~JAPHRに合流した。小児I/HPAHレジストリは、2021年度よりJAPHR1+5群を別枠で利用している。 肺高血圧は希少難病疾患であり、特に小児においては患者数が極めて少なく、製薬企業主体の臨床治験の実施はハードルが高く、成人への製造販売承認からの時間経過により更に困難となる。2021年3月に厚労省は「医薬品の承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方」を通知し、レジストリデータを外部対照や臨床治験の代替として活用することを推奨した。更に2024年6月に、RWDの活用推進のために「医薬品の承認事項や添付文書の改訂におけるレジストリデータ活用の留意点」を発出した。PMDA, AMEDともにレジストリデータを重要視している。現在、タダラフィルの小児適応追加に向けて、日本新薬の協力の下で公知申請を準備している。PMDAは医薬品の開発にあたり参考情報をまとめたearly considerationを最近発信し、肺動脈性肺高血圧は専門協議後に発出された。 小児希少難病疾患の治療成績や予後解明を目的とする研究では、積極的にAMEDに応募すべきで、研究開発課題「小児期発症の希少難治性疾患の診療に直結するエビデンス創出研究(小児)」が相応しい。