講演情報

[III-TRP2-2]医師から見た成人先天性心疾患患者のセルフケア能力と支援

石北 綾子1, 末永 知康1, 西崎 晶子1, 柿野 貴盛1, 坂本 一郎1, 寺師 英子2, 山村 健一郎2, 阿部 弘太郎1 (1.九州大学病院 循環器内科, 2.九州大学病院 小児科)
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キーワード:

移行期医療、患者教育、セルフケア

当院では、のべ2000人以上の成人先天性心疾患(ACHD)患者の管理を行なっており、うち半数が小児期病院(主に福岡市立こども病院)からの移行患者である。小児期病院の先生方のご尽力のおかげで、多くの患者が「病名」「将来的な再手術介入の必要性」を理解した上で成人期病院へ移行されてくるようになった。次の段階として、成人期管理をさらに充実させるために必要と感じることを共有・議論したい。成人期施設の機能について: 現在移行してくる患者の多くは、心疾患以外の比較的軽症の問題も小児期基幹施設の主治医が相談にのってくれていたという経験をしている。一方で、働き方改革や病診連携・病病連携・地域連携が政府の方針として打ち出される今、個の主治医が患者の全てを対応することは困難であり、チームで担当することが求められている。基幹病院内でのチーム・九州圏内の基幹病院間のチーム・かかりつけの開業医とのチームについて理解いただくことが必要である。意思決定主体のパラダイムシフトについて: 移行期医療の重要性が認知され、「患者本人が主体的に管理を行うこと」と、「患者が1人で管理すること」が混同されている現場に遭遇する。あくまで「主体」が保護者から患者本人に移行するだけで、患者を中心とするサポート体制を構築することが必要である。成人期病院医療者の受入れ体制について:複雑な病態や患者背景をもつACHD患者と、一般循環器病棟の大半を占める心筋梗塞後や不整脈患者とは性格が異なる。そのため、通常のメディカルスタッフが戸惑うことも多い。ACHD患者をメディカルスタッフが理解するための取り組みが必要である。当院での取り組みを紹介しながら最適な方法を模索したい。