講演情報

[III-TRP2-4]看護師から見た成人期の先天性心疾患患者に必要なセルフケア能力と支援

杉渕 景子1, 今井 理沙1, 阪口 ほのか1, 高橋 理奈1, 齋藤 尚子1, 高砂 聡志2, 椎名 由美2, 丹羽 公一郎2 (1.聖路加国際病院 看護部, 2.聖路加国際病院 循環器内科)
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キーワード:

成人先天性心疾患、看護、セルフケア

【背景】 医療技術の進歩により、多くの先天性心疾患患者が成人期を迎えている。成人期の先天性心疾患(A C H D:Adult Congenital Heart Disease)患者は、妊娠・出産や就職などのライフイベントにおいて特有のリスクを抱えており、成人期に適した支援が求められる。 【目的】 ACHD患者への看護師の支援を振り返り、その役割について考察する。 【看護介入の実際】 当院では、初診時にACHD患者用の問診票を用いた面談を実施し、継続的な支援が必要と判断された場合には、診察時に定期的に面談を行う。医師が患者のライフステージに応じて看護師の介入が必要と判断した場合、看護師が再介入し支援を継続している。 【症例】 症例1(30代男性、修正大血管転位症) 体育大学に就学し、体育教師の資格を取得後、教師として勤務していたが、体力に限界を感じ診察時に医師へ相談があり、医師からの依頼で看護介入を行なった。仕事の負担を見直し、障害者枠での就労を提案。その後、デスクワーク中心で勤務可能な公務員に転職し、体調に配慮した就労を継続している。 症例2(30代女性、三尖弁閉鎖症Fontan術後 精神発達遅滞あり) 医師から妊娠・出産に関する患者本人の意思確認の依頼を受け、看護介入を実施。面談を通じて、母親から「出産はできない」と伝えられていたが、本人はその理由を理解しておらず、挙児希望があったことが判明した。その思いを汲みつつも、妊娠・出産のリスクや家族の理解と協力の重要性を説明し、現在、パートナーとの関係を継続しつつも、妊娠はせずに受診継続が行えている。 【考察】ACHD患者は自分の持つ課題を理解し、必要な選択や支援を求める能力が必要である。 看護師は、ACHD患者に対して社会支援の知識提供や、医療者と患者の橋渡し、生活面・精神面を含めたトータルケアを行うことで、患者のセルフケア向上に寄与できると考えている。