講演情報

[III-TSY-1]Fontan手術の血行動態、術前術後管理の注意点

島田 衣里子 (東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

フォンタン手術、単心室、心不全

Fontan手術は、単心室循環に対する姑息的手術であり、全身静脈血を肺動脈に直接に吻合することで血行動態を構築する。肺循環への血流は受動的であり、肺血管抵抗(PVR)や中心静脈圧に大きく依存する。このため、Fontan循環における心拍出量は前負荷依存性が高く、PVRの上昇や中心静脈圧の過剰な上昇が循環不全を招く要因となる。術前管理では、肺動脈血管床の十分な成長、肺血管抵抗、心室機能、房室弁逆流などの評価や管理が必要である。 術後管理においては、急性期には血管内脱水を防ぐ適切な体液管理を含む循環管理や早期抜管をめざした呼吸管理などが必要である。長期的には、慢性的な中心静脈圧の上昇と低心拍出状態のため全身に及ぶ諸問題がおこることから、心臓に関連した合併症、心不全や不整脈、運動耐容能低下のみならず、Fontan関連肝疾患(FALD)、蛋白漏出性腸症(PLE)などの合併症に対して、包括的なフォローアップと対応が必要である。Fontan術後ではその特性を理解しながら、個々の状態や年齢などに応じた包括的な対処法を共有し管理していくことが重要である。