講演情報

[III-TSY-2]Fontan手術後の急性期看護

大串 礼子1, 宗川 一慶1, 長尾 工1, 小池 洋子1, 正谷 憲宏2, 和田 直樹3 (1.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 看護部, 2.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 集中治療科, 3.公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 小児心臓血管外科)
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キーワード:

Fontan手術、急性期看護、ICU

【背景】
Fontan手術後の急性期管理において、Fontan循環確立を目指した早期の自発呼吸の確立が最優先である。そのために過剰な鎮静は避ける必要がある一方で、Fontan循環に適応していく過程で不要なagitationを避けて静脈圧の上昇を最小限にできるような適切な鎮痛・鎮静の介入も必須である。Fontan手術直後には深部体温が上昇しやすく、Fontan循環にとっては不都合である。以上を踏まえて、Fontan手術後のICUでの急性期看護の要点を述べる。
【呼吸ケア】
Fontan循環では低い肺血管抵抗が有利である。無気肺形成は肺血管抵抗を上昇させるため、頭部挙上を行った上で排痰ケアに努める。
【鎮痛・鎮静】
啼泣や興奮は酸素消費量の増大や静脈圧上昇につながるため、Fontan循環にとって不利な状況となり得る。啼泣や興奮の原因として術後疼痛・医療デバイス・環境の変化など様々な要因が挙げられる。疼痛スケールを用いて年少児でも客観的に疼痛評価を行い、鎮痛を適正化する。また、鎮痛が十分に行われており、疼痛以外の要因によるagitationであれば、スケールを用いた目標鎮静深度に応じて追加鎮静も考慮する。
【体温管理】
自発呼吸の確立までは心室への前負荷が十分にかからず低心拍出状態となりやすい。臓器灌流圧を保つために末梢血管は収縮し、中枢温は上昇しやすくなる。発熱により頻脈傾向となり、拡張障害を有する症例では特に循環不全が助長されうる。
【まとめ】
Fontan手術後の急性期では血行動態がダイナミックに変化する。看護師は循環生理を理解し、Fontan循環に有利な状態を維持できるように努めたい。加えて、術侵襲により退行する症例も多く、早期からリハビリテーションの介入も重要である。本発表では、当院の術後急性期の取り組みも紹介しながらFontan手術後の急性期看護の要点を概説する。