講演情報
[III-TSY-3]Fontan手術の人工心肺と術後の管理について
○後藤 健宏 (三重大学 医学部附属病院 臨床工学部)
キーワード:
Fontan手術、チアノーゼ疾患、人工心肺
先天性心疾患はチアノーゼの有無、体格の大小、複数回の外科的手術を要するなど多岐に渡る。そのため、先天性心疾患に対する人工心肺は非常に特殊性が高く、特に単心室系の疾患に対して行われるFontan手術に対する人工心肺は心拍動下で行うことが多いため、難易度の高い症例であると考える。
その背景にはチアノーゼ疾患であることから、側副血行路の発達により、人工心肺で送血した血液が肺にバイパスされることで起こり得る事象に対しての理解が必要である。また、肺にバイパスされた血液が心臓に灌流されるため、人工心肺の大きな目的の一つである「無血視野の確保」が困難となる。さらに、複数回の開胸手術を経ているため、癒着剥離に伴う出血への対応も考慮する必要がある。加えて、人工心肺は容易に酸素加ができてしまう。しかし、チアノーゼ疾患に対して高濃度の酸素を加えることは、遠隔期の発達に影響を与える等の報告があるため、酸素ガスのコントロールも通常の症例とは異なる。開窓型Fontan手術の場合は脱血過多に陥った際に、空気を心室に引き込む恐れがあるため、留意する必要がある。
Fontan手術を成功に導くには、人工心肺の管理のみならず、術後の管理も需要と考える。当院ではFontan循環を維持するべく、肺血管抵抗の低下を目的として、一酸化窒素の吸入療法を人工呼吸再開時より集中治療管理が落ち着くまで継続して行っている。加えて、NHFセラピーの登場により早期抜管が可能となった。Fontan手術後の患児を早期抜管することは循環動態の安定につながるとの報告もあるため、一酸化窒素吸入療法と早期抜管を積極的に行うことで、良好な成績を得られていると考える。
今回は当院の人工心肺中の管理と術後の呼吸管理について臨床工学技士の目線から報告し、多職種でディスカッションを行うことで、Fontan手術を必要とする患児に対してより良い管理が行える一つのヒントとなればと考える。
その背景にはチアノーゼ疾患であることから、側副血行路の発達により、人工心肺で送血した血液が肺にバイパスされることで起こり得る事象に対しての理解が必要である。また、肺にバイパスされた血液が心臓に灌流されるため、人工心肺の大きな目的の一つである「無血視野の確保」が困難となる。さらに、複数回の開胸手術を経ているため、癒着剥離に伴う出血への対応も考慮する必要がある。加えて、人工心肺は容易に酸素加ができてしまう。しかし、チアノーゼ疾患に対して高濃度の酸素を加えることは、遠隔期の発達に影響を与える等の報告があるため、酸素ガスのコントロールも通常の症例とは異なる。開窓型Fontan手術の場合は脱血過多に陥った際に、空気を心室に引き込む恐れがあるため、留意する必要がある。
Fontan手術を成功に導くには、人工心肺の管理のみならず、術後の管理も需要と考える。当院ではFontan循環を維持するべく、肺血管抵抗の低下を目的として、一酸化窒素の吸入療法を人工呼吸再開時より集中治療管理が落ち着くまで継続して行っている。加えて、NHFセラピーの登場により早期抜管が可能となった。Fontan手術後の患児を早期抜管することは循環動態の安定につながるとの報告もあるため、一酸化窒素吸入療法と早期抜管を積極的に行うことで、良好な成績を得られていると考える。
今回は当院の人工心肺中の管理と術後の呼吸管理について臨床工学技士の目線から報告し、多職種でディスカッションを行うことで、Fontan手術を必要とする患児に対してより良い管理が行える一つのヒントとなればと考える。