講演情報

[I-CSY2-03]心筋細胞の1型アンジオテンシンⅡ受容体と共役するβアレスチンを利用した新規新生児・乳児拡張型心筋症治療薬の開発

山田 充彦1, 三浦 大2, 瀧聞 浄宏3, 前田 潤4, 岡田 健次5, 瀬戸 達一郎6 (1.信州大学 医学部, 2.東京都立多摩南部地域病院, 3.長野県立こども病院, 4.東京都立小児総合医療センター, 5.神戸大学医学部附属病院, 6.信州大学医学部附属病院)
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キーワード:

小児心不全治療薬、I型アンジオテンシン受容体、βアレスチンバイアスアゴニスト

小児心不全は致死的症候群であるが、エビデンスのある治療薬はほとんどない。我々は基礎研究で、アンジオテンシンIIが、心筋細胞の1型受容体(AT1R)と、これに共役するβアレスチン2を介して、幼若マウス特異的陽性変力作用を生じることを見出した。そしてこの経路を特異的に活性化するペプチド性薬TRV027が、生後1か月で~80%が心不全死するヒト拡張型心筋症モデルマウスの生命予後を有意に改善することを見出した。AT1R/βアレスチン2経路の幼若期特異性は、βアレスチン2の下流で作動するカゼインキナーゼ2’の触媒サブユニットCK2α’の心筋内発現が、発達依存的に低下するためであった。そこで本課題研究では、信州大学を主幹校として全国23の臨床施設と多施設共同研究を行い、開心術時に得られるヒト心筋を収集して、CK2α’の発現量の年齢依存性を解析している。2026年2月末日時点で、77検体(年齢:1か月齢~79歳7か月齢;男性35人、女性42人)を収集し、ヒトでも年齢が低いほど心筋内CK2α’の発現量が高いことを見出した(平均発現量の対成人p値:乳児0.002、幼児0.001、学童0.027、青年0.027)。よって、TRV027はヒトの小児心不全にも有効である可能性がある。しかし現在、①3 – 12歳児の検体が目標検体数に達しておらず、②小児検体の多くが心室由来であるが、成人検体のほとんどが心房由来であるなどの問題がある。そこで、本年8月末日までの本研究期間を1年間延長することとし、米国National Disease Research Interchangeに研究用に提供されたヒト心臓を、特定非営利活動法人エイチ・エー・ビー研究機構を介して入手し、不足検体の補充と、心内部位によるCK2α’の発現量の解析を行う予定である。