講演情報

[I-DPAL-2]KCNJバリアントのドミナント・ネガティブ効果の有無が規定するAndersen-Tawil症候群患者の表現型:機能未確認KCNJ遺伝子6バリアントの機能解析

井口 貴文1,2, 加藤 浩一1, 堀江 稔1, 大野 聖子3, 相庭 武司4 (1.滋賀医科大学 循環器内科, 2.滋賀医科大学 小児科, 3.国立循環器病研究センター メディカルゲノムセンター, 4.国立循環器病研究センター 臨床検査部)
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キーワード:

イオンチャネル、遺伝性不整脈、機能解析

【背景】Andersen-Tawil症候群(ATS)は、内向き整流性カリウムチャネルKir2.1をコードするKCNJ2遺伝子の機能喪失型バリアントに起因し、骨格異常、周期性麻痺、心室不整脈を3徴とする稀な遺伝性不整脈疾患である。本邦ATSレジストリにおいて詳細な電気生理学的評価のされていないバリアントが複数同定されている。これら6バリアントの機能解析を行い、臨床像との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】本邦ATS症例に見出された機能未確認の6バリアント(p.I72T、p.76insT、p.103_104del、p.F135S、p.N190I、p.Q310R)を対象とした。バリアントを導入したKCNJ2プラスミドをHEK293細胞に発現させ、パッチクランプ法で電流密度を測定した。野生型(WT)との共発現によるドミナント・ネガティブ効果(DN効果)も検証した。また、免疫細胞化学染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡でチャネルの細胞内局在(トラフィッキング)を評価した。【結果】機能障害の機序により以下の3群に分類された。1. ゲーティング障害(76insT、N190I、I72T):細胞膜への局在は保たれていたが、電流は消失し、強いDN効果を認めた。I72Tは同領域だが、一部機能が残存していた。細胞内ヘリックス等の構造変化によるゲーティング障害が示唆された。2.フォールディング異常(103_104del、F135S):細胞膜発現が著しく低下し、強いDN効果を認めた。ポア領域等の構造破綻によるフォールディング異常と考えられた。3. テトラマー形成不全(Q310R):細胞膜発現はみられず、DN効果も認めなかった。変異タンパクがWTと4量体を形成できずハプロ不全として機能していると推察された。臨床的に、DN効果を欠くQ310R保有者はATSの3徴が揃わない軽症例であり、実験結果と矛盾しなかった。【結論】新規6バリアントの機能喪失を確認した。DN効果のないバリアントでは、表現型が軽症である可能性が示唆された。