講演情報

[I-OR04-02]前向き症例登録データにもとづく先天性心疾患を伴う肺高血圧症の心血管イベント回避生存率の予測

石井 卓1, 住友 直文2, 石田 秀和3, 内田 敬子4, 高月 晋一5, 稲井 慶6, 福島 裕之7, 小垣 滋豊8, 山岸 敬幸9, 土井 庄三郎10 (1.東京科学大学 茨城県小児・周産期地域医療学講座, 2.慶應義塾大学 小児科学, 3.大阪大学大学院 医学系研究科小児科学, 4.東京医科大学 生理学教室, 5.東邦大学医療センター大森病院病院, 6.東京女子医科大学病院 循環器小児・成人先天性心疾患科, 7.東京歯科大学市川病院 小児科, 8.大阪急性期・総合医療センター 小児科・新生児科, 9.都立小児総合医療センター, 10.東京科学大学 小児科)
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キーワード:

肺高血圧症、先天性心疾患、予後予測

【背景】先天性心疾患を伴う肺高血圧症(CHD-PH)は多彩な病態を呈するため予後の予測が難しい。CHD-PHレジストリ(JACPHR)の前向き登録データに基づきCHD-PHの短期心血管イベント回避生存率を予測するモデルの作成を試みた。【方法】2021年7月から2025年3月までの登録症例のうち、フォローアップ登録が1回以上ある症例を対象(フォンタン後症例は除外)とし、既報で重要性が示されている項目の短期予後への影響をCox比例ハザードモデルで確認した上で、予後予測モデルを作成した。【結果】対象は224例、登録時年齢の中央値は11.7歳で、21トリソミーの合併を25%に認めた。登録時からの観察期間は中央値で1.5年であった。対象期間に発生した心血管イベントは24回(うち死亡9例)で、心血管イベント回避生存率は1年時95.4%、2年時89.5%であった。Cox比例ハザードモデルでは、左心性疾患による肺高血圧症(ハザード比(HR) 11.7、95%信頼区間(95%CI)1.84~74.0)、高い肺血管抵抗係数(≧6 WU・m2、HR 8.7、95%CI 2.66~28.6)、高い中心静脈圧(>10 mmHg 、HR 3.3、95% CI 1.21~8.97)が有意に短期の心血管イベントと関係しており、21トリソミーや高いBNPは有意ではないものの軽度のHRの上昇を認めた。これらのリスク因子を含むCox比例ハザードモデルの結果を元に、1年時、2年時の心血管イベント回避生存率を予測する予後予測モデルを作成した。結果、リスク因子が加わっていくことで相加的に予後が悪化していくことが示された。さらに、リスク因子全ての組み合わせ毎の心血管イベント回避生存率を算出し、リスク因子を選択することで短期予後が示される予後予測のプロトタイプツールを作成した。【結論】CHD-PHの心血管イベント回避率を推定するための実用的なモデルをレジストリデータから作成した。レジストリデータの蓄積とともに更新される予後予測ツールとして、臨床現場での実用化を目指していく。