講演情報
[I-OR04-03]Flow-independent Strategy:小児および若年成人PoPHにおけるRC timeと圧比率を用いた新規予後予測
○門屋 卓己, 馬場 志郎, 福村 史哲, 赤木 健太郎, 平田 拓也, 滝田 順子 (京都大学医学部附属病院 小児科)
キーワード:
肺循環、RC time、肺高血圧
【背景】 Portopulmonary Hypertension (PoPH) は著明な高心拍出を呈しやすく、動静脈酸素較差の縮小によりFick法による心拍出量(CI)の誤差が増幅され肺血管抵抗(PVR)による評価は不安定となりやすい。一方、成人PAH領域において、PVRと肺血管コンプライアンスの積であるRC time (時定数) が、血流量に依存しない予後指標として有用視されている。本研究では、PoPHにおけるRC timeを用いた指標の有用性検証と、予後不良を規定する臨界値の探索を目的とした。【方法】 当院で生体肝移植を施行したPoPH症例のうち、構造的心疾患、術後肝静脈狭窄、データ不足例を除外し、十分な評価が可能であった14例(総カテーテル検査数124件)を対象とした。移植時年齢中央値は11.6歳、女児13例、追跡期間中央値3.3年(最長24年)であった。 評価指標として、RC time および左房負荷の影響を補正するため PCWP/mPAP Ratio (圧比率) を算出した。 臨床転帰は、術後2.5年以内に「mPAP ≦ 35 mmHg かつ 静注プロスタサイクリンからの離脱」を達成した症例を予後良好群(Good)、未達成の症例を予後不良群(Poor)とした。追跡期間不足や左心系因子の関与により転帰判定が困難な3例について判定不能とした。【結果】 本検討ではPAHの既報に比してRC timeは全体的に高値を示した。判定不能を除く11例(Good 8例、Poor 3例)において、術前指標と転帰の相関を検討した結果、「RC time < 0.8 秒」 かつ 「Ratio < 0.25」 の領域に位置した3例は、全例が術後Poor Outcomeとなった(感度100%)。一方、Good群7/8例がこの基準を回避しており(特異度 87.5%)、本モデルはPSS合併や治療介入による修飾を受けず、正確に予後を分別した。【結語】 CIを用いない「RC timeと圧比率」による評価モデルは、小児PoPHにおいて良好な予後予測能を示した。本指標は肺循環の"Flow-independent"な指標の一つとして、他疾患の病態評価にも応用可能な可能性がある
