講演情報
[I-OR06-02]血管輪・肺動脈スリングに対する外科治療の単一施設 15 年間の経験
○今中 佑紀1, 松原 宗明1, 黒田 智之1, 秋山 章1, 保土田 健太郎1, 永峯 宏樹2, 大木 寛生2, 前田 潤2, 山岸 敬幸2, 吉村 幸浩1 (1.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 2.東京都立小児総合医療センター 循環器科)
キーワード:
血管輪、肺動脈スリング、気管狭窄症
【背景】血管輪は気管・食道の圧迫により呼吸器症状や嚥下障害を呈する稀な疾患である。肺動脈スリング(PAS)は完全気管軟骨輪を高率に合併し、気管形成術を要することが多い。【目的】単一施設における血管輪・PAS の外科治療成績を検討し、追加治療のリスク因子を検討する。【方法】2010 年 6 月から 2025 年 4 月に手術を施行した 69 例を後方視的に検討した。診断はPAS 43 例(62.3%)、左動脈管索を伴う右大動脈弓(RAA)15 例(21.7%)、重複大動脈弓(DAA)11 例(15.9%)であった。【結果】手術時年齢中央値 6.0 ヶ月、体重中央値 6.7kg であった。術前有症状例は 63 例(91.3%)で、wheezing 50 例、stridor 42 例が多かった。PAS 全例に左肺動脈移植術を行い 39 例(90.7%)に気管形成術を併施した。RAA 15 例中 12 例で Kommerell 憩室切除を行った。病院死亡は 3 例(4.3%)で全例 PAS に対する気管形成術施行例、遠隔死亡は 1 例(PAS 術後 11 年、RS ウイルス感染症)であった。観察期間中央値 5.1 年で追加治療を生存 65 例中 15 例(23.1%)に要し、PAS 群 35.9%、RAA 群 6.7%、DAA 群 0%であった。PAS 群の追加治療は全例左肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術で、外科的再手術例はなかった。残存呼吸器症状は 5 例(7.7%)に認めたが嚥下障害の残存はなかった。【考察】PAS の割合が高いのは気道疾患専門施設としての紹介パターンを反映している。PAS 群では気管形成術に伴う死亡リスクと左肺動脈移植後の狭窄による追加治療リスクがあり、周術期・遠隔期ともに注意を要する。【結論】DAA および RAA は良好な成績であった。PAS は追加治療率が高く、術前血流シミュレーションによる至適左肺動脈移植位置・肺血流分配の予測が今後の課題である。
