講演情報
[I-OR07-06]Bentall術後夜間頻発する心房粗動の発症に自律神経活動変化の関与が示唆された1例
○桝野 浩彰1, 吉田 葉子1, 藤野 光洋1, 杉山 央1, 高見澤 幸一1, 鈴木 嗣敏1, 石津 寛治2, 荒木 幹太2, 小澤 秀登2, 鍵崎 康治2 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器不整脈内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児心臓血管外科)
キーワード:
心房粗動、心拍変動解析、Bentall手術
【背景】Bentall手術を含む近位大動脈手術後は、心房細動・心房粗動(AFL)を高率に合併することが知られている。その機序として、手術侵襲に伴う炎症反応や心臓自律神経除神経の影響が示唆されている。【症例】完全大血管転位症の男性。7ヶ月時にJatene手術。22歳4ヶ月時にValsalva洞拡大・大動脈弁閉鎖不全症に対しBentall手術、右肺動脈狭窄に対し形成術を行った。術後23日夜間安静時にA rate 300bpmで2:1から3:1伝導するAFLを発症、カルディオバージョン(CV)を要した。ソタロール 80mg/日を開始したが、8日後の8時起床時に動悸あり、AFL再発のためCV施行。アミオダロン 100mg/日に変更した。2日後に起床時AFLが再発しておりCV施行。短期間でCVを要するAFLを繰り返すため電気生理学的検査を行った。峡部依存性AFLと確定、焼灼により頻拍誘発性が消失した。術前および術後24日に行ったHolter心電図の比較では、平均心拍数は術前67bpmが術後81bpm、心房期外収縮術前1037が術後585/日であった。心拍変動(HRV)30分毎の周波数領域解析は、Total Power 術前中央値4255.3[四分位範囲2917.1-7037.4]から術後208.7[138.3-332.0]ms2、LF power 術前1024.7[811.5-1793.1]から術後40.8[27.9-54.1]ms2、HF power術前350.5[278.5-491.6]から術後14.6[11.5-17.7]ms2と、全領域で著明な低下を認めた。LF/HF比は術前後で大きな差はなかったが術後深夜2時および5時前後に一過性上昇を認めた。また術前に見られたHRV概日リズムは術後消失していた。【考察】術後のHRV全体の低下は心臓自律神経除神経を反映する所見と考えられた。AFLは通常交感神経活動亢進時にみられることが多いが、本症例では通常副交感神経優位となることが多いと思われる夜間にAFLが頻発した。夜間のLF/HF上昇は自律神経活動全体が抑制された上での相対的変化であるが、AFL発症に関与した可能性が示唆された。
