講演情報

[I-OR08-05]心外奇形を伴う先天性心疾患症例に対する網羅的遺伝子解析の意義

小川 陽介1,2,3, 中村 甫1, 河島 裕樹1, 矢野 瑞貴1, 西木 拓己1, 小澤 由衣1, 大森 紹玄1, 白神 一博1, 益田 瞳1, 犬塚 亮1 (1.東京大学医学部附属病院 小児科, 2.東京大学大学院 医学系研究科 小児科学, 3.東京大学大学院 医学系研究科 遺伝情報学)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

先天性心疾患、全エクソン解析、心外奇形

【背景】心外奇形を伴う先天性心疾患(CHD)では背景疾患の存在を疑うことは少なくないが、染色体検査やFISHが陰性である場合にさらにadvancedな検索を行うことは躊躇されやすい。全エクソン解析(WES)を含めた網羅的遺伝子解析は、こうした症例の診断の裾野を広げる可能性がある。【方法】2012年以降に当院でWESを行ったCHD症例を対象とし、染色体異常、微小欠失、内臓錯位症候群は除外した。表現型は心血管系のほか消化器系、呼吸器系など11系統に分類した。遺伝子変異は、CHD関連遺伝子において(1)Pathogenic/Likely pathogenic(P/LP)、(2)アレル頻度やin silico解析から病原性が高いと考えられるvariant of uncertain significance(pVUS)を対象とした。多発奇形の有無・系統数と遺伝子変異の有無の相関を評価した。【結果】対象は80例(円錐動脈幹異常 37例、大血管転位22例、その他21例)。心外奇形を伴う症例は32例(40%)で、遺伝子変異は19例(24%; P/LP 11例, pVUS 8例)に認められた。遺伝子変異の保有率は、1系統の奇形のみ(CHDのみ)では5/48(10%)に対し、2系統で5/13(38%)、3系統以上で9/19(47%)と有意に増加した(p<0.01)。多系統奇形の症例には、FUZのホモ接合変異による一次線毛病や、HDAC8ミスセンス変異による特異顔貌を伴わないCornelia de Lange症候群など検査によってはじめて病態の理解が進んだ症例も含まれた。また系統別には、神経発達系、泌尿生殖器系、呼吸器系の奇形合併時に変異を有することが多い傾向がみられた。【考察】心外奇形を伴うCHDでは、染色体異常などを有さないケースでも半数近くが遺伝子変異を有した。診断によって病態理解が進み、予後予測や遺伝カウンセリングに反映できるため、このような症例に対して網羅的遺伝子解析は積極的に検討すべきである。一方でCHD単独のケースの多くは単一遺伝子変異以外の機序が背景にある可能性が窺われた。