講演情報
[I-OR09-06]QT延長症候群に対して投与されたβ遮断薬が自律神経に与える影響について 心拍変動解析を用いた検討
○菊池 豊 (芳賀赤十字病院)
キーワード:
QT延長症候群、β遮断薬、心拍変動解析
【目的】QT延長症候群(以下LQTS)に対してβ遮断薬が投与される。臨床的には有効だが、その機序は明らかではない。今回、学校心臓検診で見つかったLQTSの小児に対してβ遮断薬を投与し、その前後でホルター心電図から心拍変動解析を用いた自律神経機能の評価を行ったので、その結果を報告する。【症例】現在12歳男児で、小学4年の学校心臓検診の際にQT時間の延長を指摘され受診した。失神の家族歴は無く、本人にも失神歴、動悸等の自覚症状はなかった。マラソンクラブに所属し問題なく経過していた。受診時QTc=0.523(Basett)でLQTSとしてフォローされていた。10歳時に遺伝子検査を行い、KCNQ1の異常を認めLQT1と判断した。失神等は認めなかったが、マラソンクラブからの脱会とナドロールの投与を開始した。β遮断薬投与前、投与後4か月、投与後8か月でホルター心電図による評価を行った。心拍変動解析を周波数領域解析を用いておこない、60分ごとに計測しその平均値を求めた。【成績】臨床的には、投与後も失神は起こしていない。ホルター心電図の一般解析では、TdPを含む不整脈は認めなかった。QTcは、0.523→0.488→0.462と短縮傾向を認めた。心拍変動解析の結果を示す。(投与前、投与後4か月、投与後8か月)LF(Low frequency)1895ms2#、2301ms2、2675ms2#。TF(Total frequency)12146、12661、15380。HF(High frequency)4634、3452#、5603#。LF/HF:0.803、0.771、0.635。以上からLF、HFに有意な変化を認めた。交感神経を示すLF/HFはに有意な変化を認めなかったが、投与後に低下する傾向を認めた。【結論】β遮断薬を投与したLQTSの小児に対して心拍変動解析による自律神経の評価を行った。投与後副交感神経活性の上昇がみられた。一方で交感神経の活性は低下傾向がある。交感神経活動の低下による相対的な副交感神経の変化を示しているのかもしれない。今後症例の集積が必要である。
