講演情報

[I-OR11-01]川崎病急性期におけるHDLコレステロール引き抜き能の障害と初期治療反応性

関 満1, 松原 大輔1,2, 岡 健介1, 佐藤 智幸1, 南 孝臣1, 小坂 仁1, 小谷 和彦2 (1.自治医科大学 小児科, 2.自治医科大学 地域医療学部門)
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キーワード:

コレステロール引き抜き能、抗酸化能、酸化HDL

【はじめに】 HDLは末梢組織やマクロファージから余剰な脂質を除去する「コレステロール引き抜き能」を有しており、これがHDLの抗動脈硬化・血管保護作用の中心的機序である。川崎病急性期ではHDLの量的低下が生じるが、HDLの質的変化、すなわち機能不全/酸化変性の実態やその臨床的意義は不詳である。本検討は川崎病におけるHDLの量的および質的変化を包括的に解析し、その動態と意義を明らかにすることを目的とした。【方法】 対象は初期治療で免疫グロブリン(IVIG)療法を施行した川崎病患者35例で、初期治療反応群(R群:22例)と不応群(NR群:13例)に分類した。治療前(A)、治療終了後2日(B)、7日(C)、30日(D)の各時点において、HDL-C、HDL-SPE(HDL特異的リン脂質引き抜き能)、PON-1活性(抗酸化能)、および酸化HDLマーカーを測定した。統計解析には二元配置分散分析を行い、多重比較にはTukey法を用いた。【結果】 両群の月齢や性別に有意差はなかった。 二元配置分散分析の結果、治療反応性の違いにより経時的変化に有意差(交互作用)を認めたのは、HDL-C(量)とHDL-SPE(機能)であった。多重比較による検討ではHDL-CはB・C時点においてNR群でR群より有意に低値であった(p<0.001)。HDL-SPEもR群は治療後早期より回復傾向を示したのに対し、NR群はB時点およびC時点においてR群に比し有意に低値であり(共に p<0.01)、その回復が遅延していた。一方、酸化HDLマーカーや中性脂肪には、時間経過に伴う変動は認めたものの、治療反応性の違いによる有意な挙動の差異は認められなかった。【結語】 難治性川崎病においては、HDLの量的な低下に加え、血管内皮保護の要であるコレステロール引き抜き能という機能(質)そのものが障害され、その回復も遅延していた。酸化マーカーの多寡とは独立して機能不全が生じている可能性があり、HDL-SPEによる機能評価はKDの血管炎症および残存リスクを評価する新たな指標となる可能性がある。