講演情報

[I-P01-06]RIT1変異による急速進行性肥大型閉塞型心筋症に対するシベンゾリン治療の有効性

小竹 由, 高瀬 隆太, 大津 生利衣, 山川 祐輝, 清松 光貴, 鍵山 慶之, 寺町 陽三, 渡邊 順子, 須田 憲治 (久留米大学病院 小児科)
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キーワード:

シベンゾリン、心筋症、Noonan症候群

【背景】Noonan症候群はRAS/MAPK経路の異常による先天性疾患であるが、特にRIT1変異は肥大型閉塞型心筋症(HOCM)合併の頻度が高く、乳児期早期より急速に左室流出路狭窄が進行し、重篤しうることが知られている。成人HOCMにおいてはIa群抗不整脈薬シベンゾリンの有効性が報告されているが、小児・乳児における使用経験は限られている。【症例】現在1歳の女児。妊娠39週3日、体重2738gで出生。生後8時間より哺乳後にチアノーゼとSpO2低下を認め、新生児搬送された。動脈管開存(PDA)および心房中隔欠損(ASD)を認め、心不全加療が開始されたがコントロール困難となり当院へ転院。日齢24にPDA結紮術を施行後、軽度の肺動脈狭窄(PS)と心筋肥厚を認めたものの、心不全は一時的に改善した。しかし日齢37頃より心室中隔基部の非対称性肥厚が急速に進行し、HOCMと診断された。心疾患と眼間開離、つり上がった眼裂、翼状頸などの特徴的顔貌からRasopathyを疑い、遺伝学的検査を施行し、RIT1遺伝子の病的変異(c.270G>A)を同定した。一時は循環動態安定化のため深鎮静とアドレナリン持続投与まで要したが、β遮断薬に加えてシベンゾリンを導入したところ、左室流出路狭窄は徐々に改善し、救命し得た。経過中に乳び胸を認め、MCTフォーミュラにて管理。現在は外来フォロー下で安定して経過している。【考察】本症例において、シベンゾリン併用療法は左室流出路圧較差の改善に寄与し、循環動態の安定化をもたらした。これまでの報告と合わせ、小児のRAS/MAPK関連HOCMにおいても、シベンゾリンが有効な治療選択肢となりうる可能性が示唆される。今後は症例の蓄積とともに、至適投与量や血中濃度、導入時期、長期予後に関する検討が求められる。