講演情報

[I-P01-07]閉塞性肥大型心筋症による心不全と難治性浮腫を呈したRIT1遺伝子変異陽性Noonan症候群の1例

伊達 じょい1, 西山 樹1, 橋本 わかば1, 高橋 健1, 福永 英生2, 東海林 宏道2 (1.順天堂大学医学部附属浦安病院 小児科, 2.順天堂大学 小児科)
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キーワード:

RIT1遺伝子変異、Noonan症候群、肥大型心筋症

【背景】Noonan症候群(NS)は特徴的顔貌、低身長、難聴、肺動脈弁狭窄や肥大型心筋症(HCM)等の心疾患およびリンパ管異常等の多彩な症状を呈する症候群である。今回、新生児期から心筋肥厚を認め、閉塞性肥大型心筋症による心不全と難治性浮腫を呈したRIT1遺伝子変異陽性NSの1例を経験したので報告する。
【症例】3か月女児。胎児期に羊水過多を認め、在胎37週0日で出生した。出生後のスクリーニングエコーでHCM(左室後壁厚4.3mm, Z=2.2)、肺動脈弁狭窄、心房中隔欠損と診断し、眼間開離、厚い耳輪、短頚などの身体的特徴からNSを疑った。生後1か月時に心筋肥厚6.6mm(Z=4.2)と増悪し、左室流出路狭窄(LVOTS)PG=32mmHgおよび右室流出路狭窄(RVOTS)PG=74mmHgを伴ったためプロプラノロール4mg/kg/day、シベンゾリン7.5mg/kg/dayを段階的に導入した。その後も求心性心筋肥厚の進行(9.5mm, Z=6.0)およびLVOTS(PG=52mmHg)、RVOTS(PG=81)mmHgの増悪があり、生後2か月時に心不全急性増悪で挿管鎮静下に循環管理を要した。遺伝子検査でRIT1遺伝子のミスセンス変異(c.246T>G; p.F82L)が判明しNSと確定診断した。心不全増悪時より全身浮腫と乳糜胸腹水を認め、胸腔ドレナージ、利尿薬、ステロイド、オクトレオチド、第13因子製剤を使用したが治療抵抗性であった。倫理委員会の承認を得て、HCMとリンパ管異常に対するMEK阻害薬の適応外使用を検討していたが、生後3か月時に呼吸状態の増悪を来し死亡した。
【考察】RIT1遺伝子異常はNSを呈する遺伝子変異のうち比較的新しく報告された変異であり、RAF1遺伝子変異と並び高率にHCMを呈するとされ、さらにリンパ管異常の合併も多く報告されている。
【結語】特徴的な身体所見を有する新生児期発症HCMではNSを鑑別に挙げ、早期に遺伝子検査を進めるとともに、MEK阻害薬を含めた治療方針の検討が重要である。RIT1遺伝子変異陽性NSはHCMとリンパ管異常を合併し、重篤な経過を辿ることがある。