講演情報
[I-P01-08]児の診断を契機に判明した末梢性肺動脈狭窄を主徴とする成人Alagille症候群の1例
○中野 茉莉恵1, 小町 詩織1, 右田 王介2, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 遺伝診療部)
キーワード:
Alagille症候群、遺伝疾患、末梢性肺動脈狭窄
【背景】Alagille症候群はJAG1遺伝子変異を原因とする常染色体優性遺伝疾患であり、末梢性肺動脈狭窄(PPS)を代表とする心血管病変を高頻度に合併する。表現型の多様性が大きく、成人例では心血管病変のみが前景に立ち診断に至らないことがある。【症例】30歳代女性。幼少時よりびまん性PPSと診断され経過観察されていた。黄疸の既往はなく、血液検査でも肝機能異常を認めなかった。5歳時の心臓カテーテル検査で右室収縮期圧80mmHgと高値を示し、びまん性PPSのため外科的・カテーテル治療はいずれも困難と判断された。23歳時に当院ACHD外来に紹介され、Williams症候群否定目的で遺伝子検査を施行したが異常は認めなかった。24歳時の再検査でも右室収縮期圧71mmHg、右室―肺動脈圧較差51mmHgと高値であったが、治療介入は行われず経過観察となっていた。29歳時に妊娠し、在胎38週、体重2156gで出産した。出生児には特徴的顔貌、高度黄疸、蝶形椎体、胆嚢低形成を認め、心エコーでPPSを認めた。遺伝子検査でJAG1遺伝子変異が確認されAlagille症候群と診断された。これを契機に母を再評価したところ、低身長、蝶形椎体、眼科的所見を伴い、同症候群によるPPSと診断された。【考察】原因不明のPPSを呈する成人例では、肝胆道症状を欠くAlagille症候群も重要な鑑別疾患である。本症例は常染色体優性遺伝形式を背景に、児の診断を契機とした家族評価と遺伝学的検査が、成人未診断例の同定に極めて有用であることを示した。小児例の診断は、成人未診断の先天性心疾患・遺伝性疾患を拾い上げる重要な契機となることがある。
