講演情報
[I-P03-06]多剤併用によりコントロールし得た乳児特発性左室心室頻拍の1例
○野竹 慎之介, 中橋 匠, 中村 祐輔, 築野 一馬, 増田 詩央, 真船 亮, 百木 恒太, 河内 貞貴, 星野 健司 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)
キーワード:
ベラパミル、心室頻拍、特発性左室心室頻拍
【背景】特発性左室心室頻拍(ベラパミル感受性心室頻拍)は乳児例では稀である。乳児心筋はCaハンドリングが未成熟であり、Caチャネル遮断薬は新生児期・乳児期には原則禁忌とされてきたが、近年、厳重なモニタリング下でのベラパミル投与により頻拍停止や予防が可能であったとの報告も散見される。乳児ではカテーテルアブレーションが原則適応外であるため、薬物治療による頻拍コントロールが重要となる。今回、ベラパミル単剤では頻拍予防が困難であったが、多剤併用により良好にコントロールし得た乳児例を経験したので報告する。【症例】10か月女児。健診で頻拍を指摘され紹介となった。心電図で心拍数220/分、wide QRS、北西軸、右脚ブロック型頻拍を認めた。アデノシン、ランジオロール、リドカイン、アミオダロン投与およびDCショックは無効であったが、フレカイニド投与で停止した。当初は心房頻拍+変行伝導を疑い、フレカイニドおよびプロプラノロール内服を行ったが再燃を認めた。診断再考の上、集中治療室で厳重管理下にベラパミルを投与したところ頻拍は停止し、特発性左室心室頻拍と診断した。ベラパミル内服単剤では再燃を認め、フレカイニド併用でも十分な抑制が得られなかったが、プロプラノロール併用開始後は再発なく経過している。【考察】特発性左室心室頻拍の主病態は左脚後枝リエントリーとされるが、一部にはPurkinje起源のCa依存性自動能亢進やtriggered activityが関与する病態が存在する。乳児ではPurkinje networkのびまん性分布やCaハンドリングの未熟性から後者の機序が関与しやすいと考えられる。本症例でDCショック無効、warm-up/cool-down現象を認めた点はこの病態を示唆し、β遮断薬併用が有効であった可能性がある。【結論】乳児特発性左室心室頻拍では、臨床経過から病態機序を推定し、ベラパミルに加える併用薬剤を選択することが、薬物治療戦略を立てる上で重要である。
