講演情報
[I-P07-08]右側大動脈弓・左鎖骨下動脈起始異常から盗血現象をきたし外科加療を行った一例
○宮里 茉樹1, 鶴見 文俊1, 久米 英太朗1, 佐藤 一寿1, 馬場 志郎2, 菅野 勝義3, 塩田 光隆1 (1.田附興風会 医学研究所北野病院 小児科, 2.京都大学医学部附属病院 小児科, 3.京都大学医学部附属病院 心臓血管外科)
キーワード:
左鎖骨下動脈起始部狭窄、鎖骨下動脈盗血症候群、血管輪
【症例】在胎25週の胎児心臓超音波検査で右側大動脈弓、左動脈管、左鎖骨下動脈(LSCA)起始異常による血管輪と診断された。出生後、日齢0の超音波検査でこれらに加えKommerell憩室を認めた。日齢1に動脈管は自然閉鎖した。日齢2の造影CTではLSCA起始部の形態的狭窄を認めた。呼吸状態・発育は良好で日齢13に退院した。また、入院中の自動聴性脳幹反応(ABR)で左耳のみreferとなった。生後3か月でABRを再検すると閾値上昇があり、他施設での検査でも月齢平均以下の聴力であった。生後4か月の当科外来でLSCA起始部狭窄の進行が疑われ、上肢収縮期血圧の左右差やサーモグラフィーでの左上肢の温度低下を認めたため、精査を行った。頚部・上肢超音波検査では、左椎骨動脈(LVA)の血流は全周期で逆行し、左鎖骨下動脈、左上腕動脈の血流は低下していた。頭部MRIのArterial spin labeling画像では後方循環の脳血流低下がみられた。再検した造影CTで左LSCA起始部は開存していたが狭窄の進行を認めた。アルプロスタジルの持続静脈注射を開始したところ、超音波検査ではLSCA起始部狭窄の軽減とともにLVAの拡張末期に順行性血流が出現したため、リマプロストアルファデクス内服へ移行した。他施設に紹介となり、生後8か月に手術加療を受けた。【考察】鎖骨下動脈盗血症候群では、椎骨脳底動脈灌流不全による神経症状や上肢虚血による疼痛等が出現した場合にバイパス術が考慮される。神経症状としては難聴も報告されている。血管輪・左鎖骨下動脈起始部狭窄に合併した盗血現象の報告は限られている。本症例では、盗血現象による脳血流低下、聴力低下をきたしている可能性が考えられた。左鎖骨下動脈起始部狭窄の進行には動脈管組織の関与が疑われた。【結論】血管輪・左鎖骨下動脈起始部狭窄から盗血現象をきたし手術加療を行った一例を経験した。手術待機期間中のプロスタグランジンE1製剤は盗血現象の改善に一定の効果があった。
