講演情報

[I-P07-09]鎖骨下動脈盗血を呈した左鎖骨下動脈起始異常を伴う右大動脈弓に対し予防的外科治療を行った1例

小澤 綾佳1, 坂井 知英1, 坪井 香緒里1, 岡部 真子1, 仲岡 英幸1, 伊吹 圭二郎1, 廣野 恵一1, 芳村 直樹2 (1.富山大学 医学部 小児科, 2.富山大学 第一外科)
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キーワード:

血管輪、左鎖骨下動脈起始異常、Kommerell憩室

【はじめに】左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓(RAA - ALSCA)は、血管輪の内30%程度を占める疾患で、重複大動脈弓と比べ比較的症状は軽い。気管、食道の圧迫症状のある症例は手術適応であるが、無症状例の手術適応についてはいまだ定まっていない。【症例】胎児期に血管輪と診断した男児。出生後、心エコーでRAA - ALSCAを疑い、日齢3の造影CTでKommerell憩室(5×6 mm)およびALSCA起始部高度狭窄を認めた。左上肢血圧は右より10-15 mmHg低値で、頸動脈エコーでは左椎骨動脈の収縮期逆流を認め、鎖骨下動脈盗血を示唆し、鎖骨下動脈高度狭窄のCT所見と一致する所見であった。無症状であったが、将来的な盗血症候群および憩室破裂・解離リスクを考慮し、生後3か月で憩室切除、動脈管索切離、左鎖骨下動脈再建術を施行した。術後、血圧の左右差は消失し、現在1歳で呼吸・嚥下障害を認めず、経過は良好である。【考察】RAA - ALSCAの症例では、一部にLSCAの起始部狭窄や閉塞をきたす報告がされている。小児で症候性となるのは稀であるが、成人では10%程度の盗血症候群の発症の報告があり、早期の予防的介入が有用な可能性がある。血圧左右差および頸部エコーは、診断補助として有用であった。また、Kommerell憩室に関しても、成人期の破裂のリスクは4-10%、解離のリスクが10-20%と報告されており、将来のリスクを考慮し、外科的介入を検討する意義があると考えられた。【結語】RAA - ALSCAでは無症状でも鎖骨下動脈盗血やKommerell憩室関連合併症を潜在的に伴う可能性があり、適切な評価に基づき治療戦略を検討することが重要である。