講演情報
[I-P09-01]経皮的肺動脈弁形成術直後に顕在化した右室機能障害によりチアノーゼが増悪した日齢11の重症肺動脈弁狭窄症の女児
○小野 奈津子1, 小柳 喬幸1, 福山 隆博1, 淺野 聡1, 住友 直文1, 宮田 功一2 (1.慶應義塾大学 医学部 小児科学教室, 2.SUBARU健康保険組合 太田記念病院 小児科)
キーワード:
新生児重症肺動脈弁狭窄症、経皮的肺動脈弁形成術、右室機能障害
【緒言】新生児重症肺動脈弁狭窄症(cPS)に対する経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)は有効な低侵襲治療だが, 手技後に低酸素血症が増悪する場合がある. 今回, PTPV直後より著明な低酸素血症を呈したcPSの一例を報告する. 【症例】正期産, 出生体重3388 gの女児. 出生時よりSpO2 80%のチアノーゼを認め, 心エコー図で肺動脈弁狭窄症と診断された. 日齢2に動脈管が閉鎖したが, 順行性肺血流は保たれておりプロスタグランジンE1は投与されなかった. PTPV目的に日齢8に当院に転院した. 肺動脈弁は3弁で, 弁輪径は5.1 mm(Z=-3.3), 三尖弁輪径は9.6 mm(Z=-1.1)で逆流は少量, 右室サイズは保たれていた. 卵円孔を介する右左シャントを認めた. 日齢11にPTPVを実施した. 圧較差は72 mmHgから14 mmHg, 右室圧は90 mmHgから28 mmHg, 右室圧/体血圧比は1.8から0.48に改善した. しかし術後にSpO2は挿管下FiO2 1.0で62%まで低下し, 心エコー図では右室内腔の狭小化を認めた. 一時緊急BTシャント手術も検討されたが, 鎮静, 筋弛緩, NO吸入およびβ遮断薬により, 数日かけて酸素化は改善した. 術後2か月で卵円孔は縮小しSpO2 97%と良好に経過している. 【考察】既報では, PTPV後の低酸素血症増悪の要因として右室機能不全, 漏斗部狭窄残存や動脈管閉鎖が報告されている. 本症例では, 術前に右室サイズは保たれ, 顕著な心筋肥大もなかったが, 減圧後に低酸素血症が増悪した. その機序として, 動脈管閉鎖に加え, 減圧前は肺動脈弁狭窄による後負荷により右室が張力を保ち心拍出量を維持していたが, 減圧後に右室内腔が急激に縮小し, 心拍出量が低下した可能性が考えられた. 【結語】cPSに対するPTPV後, 右室機能障害により一過性にチアノーゼが悪化する症例が存在する. 術後急性期管理においてはこの病態を念頭に置き, チアノーゼ増悪の際には, 右室機能がadaptationするまでintensiveな内科的管理を行う必要がある.
