講演情報
[I-P13-07]新生児・乳児の周術期管理における経胸壁心房ライン(TTIL)の運用と安全性・有効性
○枝木 大治1, 小泉 淳一1, 正木 直樹1, 齊木 宏文2, 金 一1 (1.岩手医科大学 心臓血管外科, 2.岩手医科大学 小児科)
キーワード:
経胸壁心房ライン、静脈温存、段階的治療
【背景】小児心臓手術では周術期の中心静脈路確保が必須であるが、単心室の段階的治療を控える患者では将来のFontan pathway温存の観点から中心静脈路を極力温存することが望まれる。経胸壁心房ライン(transthoracic intracardiac line:TTIL)は周術期管理に有用とされる一方、抜去後出血や感染などの合併症が報告されている。当院では、2021年10月より、新生児・乳児期早期、低体重、姑息術症例においてTTILを積極的に挿入している。 【目的】当院におけるTTIL運用の実態と安全性・有効性を検討する。【方法】2021年10月ー2026年1月にTTILを使用した26症例・30ラインを後方視的に調査した。主要評価項目をSVC閉塞の有無および段階手術到達、副次評価項目をライン関連合併症(介入を要する血栓、逸脱・位置異常、閉塞・使用不能、カテーテル関連感染)とした。 【結果】手術時日齢中央値13、新生児期手術25例、乳児期手術5例(重複症例あり)。単心室治療17例。術式は肺動脈絞扼術(PAB)15例、BTシャント(BTS)7例、Norwood4例、BTS + PAB 2例、その他2例、人工心肺使用15例。ライン留置期間中央値13日(4ー166)。在院死亡3例は、ECMO導入後脳出血1例、ECMO-CPR2例であり、ライン関連事象は認めなかった。遠隔期死亡は2例。生存例21例のうち、上大静脈閉塞1例、内頸静脈閉塞1例を認めた。段階手術到達は19例(待機中2例)であった。ライン関連合併症は0件で、抜去後の心タンポナーデ、再開胸・再手術、循環動態不安定化は認めなかった。 【結語】当院のTTIL運用では重大なライン関連合併症は認められず、上大静脈閉塞は少なく、無事に段階手術に到達可能であった。新生児・乳児において、段階的治療を要する症例、特に単心室児において、TTILは安全かつ有用な選択肢となりうる。
