講演情報
[I-P14-06]房室ブロックを契機に急激な循環動態悪化を来した拘束型心筋症の1歳女児例
○阿久津 萌, 松井 亮介, 岡 健介, 五味 遥, 古井 貞浩, 横溝 亜希子, 松原 大輔, 佐藤 智幸, 関 満, 田島 敏広 (自治医科大学 とちぎ子ども医療センター 小児科)
キーワード:
拘束型心筋症、房室ブロック、ペースメーカー
【背景】小児期発症の拘束型心筋症(RCM)は予後不良であり、心臓移植が唯一の根治的治療とされる。拡張障害による心不全に加え、心房拡大や心筋線維化に伴う刺激伝導系障害を合併することが知られているが、その管理方針については明確な指針がない。今回、RCMに房室ブロックを合併し心不全管理に難渋した1例を経験した。【症例】1歳、女児。右上下肢脱力を主訴に、MRIで左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され入院した。洞性徐脈(HR 50回/分)もあり、心エコーで著明な心房拡大と心室拡張障害を認めRCMと診断した。脳梗塞は心原性と判断し抗凝固療法を開始、入院4日目のMRIでは血管再開通を認めた。RCMに対してはドブタミン(DOB)とミルリノン投与で循環は安定したが、DOB減量により洞性徐脈が増悪したため、再増量しHR 70ー80回/分を維持した。しかし、入院17日目に突然の房室ブロックを契機に心停止に至り、ECMO導入となった。房室ブロックは自然に改善しECMOを離脱したが、再度の房室ブロック出現に備えてペースメーカー(DDD)植え込みを同時に行った。自己脈のAV delayは270msと延長しており、心室ペーシングになると心拍出が低下するため、自己の房室伝導を維持するようにDDDのAV delayを設定し、房室伝導改善目的にイソプロテレノール(ISP)を導入した。その後循環は安定し、自己のAV delayも200msを下回るようになったためISPは漸減中止し、DOBも減量可能となった。しかし、入院61日目に突然自己の房室伝導が消失して心室ペーシングとなったことを契機に血圧が低下し、アドレナリン投与行うも循環は改善せずに死亡した。【考察】刺激伝導系障害を合併するRCMは、より予後不良となりうる。房室伝導を含む心拍管理は心拍出量維持に重要であり、内科的管理に難渋する場合は早期のペースメーカー導入と、状態にあわせた適切なペーシングの調整が必要である。
