講演情報

[I-P15-05]胆道閉鎖症術後肝硬変に心筋炎後心筋症を合併した慢性心不全において、生体肝移植によって心機能改善が得られた一例

末廣 友里, 成田 淳, 皇甫 奈音, 馬場 達也, 林田 由伽, 長野 広樹, 加藤 温子, 石井 良, 石田 秀和, 北畠 康司 (大阪大学 大学院 医学系研究科 小児科学)
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キーワード:

心不全、肝硬変、心移植

【背景】肝硬変患者では、末梢血管抵抗の低下、心拍出量の増加などの循環動態異常により、心臓の構造的および機能的異常を引き起こすことが知られている。特異的治療は確立されていないが、肝移植により心機能の改善をもたらすという報告がある。【症例】27歳女性。生後2か月時に胆道閉鎖症と診断され3か月時に葛西術を施行。生後10か月時にインフルエンザ心筋炎を契機に拡張型心筋症様病態を呈し、心筋炎後心筋症として内服による抗心不全療法を継続していた(EF30~50%で推移)。20歳時に胆管炎発症を契機に肝硬変の進行を認めた。肝移植を検討したが本人の意思が固まらず保留としていた。また電解質異常に伴う不整脈頻発に伴い心機能が増悪し中心静脈カテーテル留置によるカリウム投与とともに経口強心薬導入を要した。22歳時に心移植登録を検討したが、肝硬変に伴う循環動態異常が心不全増悪に寄与している可能性があり、適応外と判断された。23歳時に心負荷軽減目的で脾摘術を施行。Child-Pugh分類 9点の非代償性肝硬変であり、再度肝移植を検討し移植を希望、25歳時に母をドナーとした生体肝移植を施行した。移植前心臓カテーテル検査では、LV 82/e6mmHg、SVC (1)、CI 2.2L/min/m2であった。移植3週間前より心不全管理入院とし、移植後はカテコラミンと利尿薬による水分管理を行った。術後3か月でカテコラミン静注終了し、経口強心薬へスイッチして退院。術後半年でEF50%まで心機能の改善を認め、経口強心剤も離脱可能となった。【まとめ】胆道閉鎖症術後肝硬変と心筋炎後心筋症を合併した慢性心不全症例において、肝移植後に心機能の可逆的改善を認めた。肝硬変に伴う循環動態異常が心不全増悪に関与する症例では、肝移植が心機能改善につながる可能性が示唆される。一方、移植適応判断および周術期には慎重な心機能評価と循環管理が重要である。