講演情報
[I-P15-10]小児末期腎不全患者の心不全管理におけるアンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)の使用経験
○本田 啓1, 伴 英樹2, 平井 克樹1 (1.熊本赤十字病院 小児科, 2.熊本赤十字病院 小児腎臓科)
キーワード:
小児末期腎不全、小児心不全、サクビトリル・バルサルタン
【背景】小児慢性腎臓病(CKD)では、心血管疾患(CVD)の発症および進行をいかに抑制するかが長期生命予後を規定する重要な課題である。腎不全に伴う容量・圧負荷、貧血、慢性炎症、透析関連因子などにより、心不全や心肥大・線維化は進展し得る。腎移植がCVD抑制に寄与することが報告されているが、移植困難例では長期透析管理を余儀なくされ、心血管合併症の進行が臨床上の大きな問題となる。近年、成人心不全治療においてアンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)が治療の中核を担い、末期腎不全患者や透析患者においてもreal-worldデータを中心に有用性が報告されている。一方、小児末期腎不全患者におけるARNI使用経験は極めて限られている。今回、腎移植が困難なため血液透析を選択した末期腎不全患児に対しARNIを導入し、心不全管理を行った一例を報告する。【症例】14歳女児。基礎疾患にCKD stage G5D、慢性心不全、総排泄腔遺残を背景に腹腔内血管欠損による移植困難例。体液管理困難となり血液透析を導入。心収縮能低下を認めており、透析による適切な体液管理と併せて心不全管理としてARNIを導入した。導入前の左室駆出率(LVEF)は30~35%であったが、開始1年後には50%前後に改善。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は導入前193 pg/mLから7.3 pg/mLに低下し、NYHA分類は2~3から1~2へと改善した。血圧、電解質異常などの管理継続に妨げとなる有害事象は認めていない。【結語】成人透析例でARNI使用が拡大している現状を踏まえ、本症例は小児血液透析患者においても慎重な用量調整と血圧・電解質モニタリングの下でARNIが忍容性良好に使用可能であった。今後の症例蓄積が期待される。
