講演情報
[I-P16-03]新生児期より代謝異常と脳所見を伴い、心筋症の経過変化から診断に至った乳児期ミトコンドリア心筋症の1例
○櫻井 亮佑1, 関根 佳織1, 飯田 美穂1, 菅原 沙織1,2, 石井 純平1,3, 國分 文香1, 宮本 健志1, 白石 秀明1 (1.獨協医科大学 医学部 小児科学, 2.あいち小児保健医療総合センター, 3.土屋小児病院)
キーワード:
ミトコンドリア病、心筋症、心筋肥厚
【背景】ミトコンドリア病はエネルギー代謝障害を本態とする遺伝性疾患であり、小児では中枢神経、骨格筋、心筋など多臓器障害を呈する。心筋症は重要な合併症で、肥大型や拡張型など多様な病型を示すが、新生児・乳児期では診断が困難な場合がある。【症例】在胎38週4日、出生体重2450gで出生した女児。胎児期より脳室拡大を指摘され、出生後は当院NICUで管理された。新生児期より乳酸アシドーシスを認め、頭部MRIでは脳室拡大は正常上限内であったが、多発微小梗塞が疑われる所見を認めた。心臓超音波検査では左室心筋肥厚を認め、心室中隔厚は最大7.2mmであった。左室流出路狭窄は認めず、左室駆出率は約80%と収縮能は保たれていた。退院後は当院外来で心電図および心臓超音波検査による経過観察を行い、非閉塞性肥大型心筋症が疑われた。哺乳および体重増加は良好で無症候性に経過していたが、生後約2か月時に左室拡大を認め、左室拡張末期径は29.5mmで年齢相当の正常値の約145%に達し、左室駆出率は30%まで低下したため、拡張型心筋症への移行が疑われ転院した。精査の結果、ミトコンドリア病による心筋症と診断された。【考察】小児ミトコンドリア病において新生児期より心筋肥厚を呈しても、哺乳や体重増加が保たれ、心機能が一時的に維持される場合があり、初期の心臓所見のみで基礎疾患を判断することは困難な場合がある。一方で経過中に収縮能低下や拡張型心筋症様へ移行する症例が報告されている。本症例では、新生児期から乳酸上昇、脳画像異常、心筋肥厚といった多臓器の異常所見が認められ、早期からミトコンドリア病を疑い、代謝・遺伝学的評価や心機能評価を開始することで、心機能悪化の検出や全身管理の適正化につながる。【結語】新生児・乳児期に心筋肥厚を認める症例では、心機能や症状が保たれていても、代謝異常や中枢神経系所見を含めた全身評価が重要である。
