講演情報
[I-P16-07]Fontan手術1年後に心収縮力低下が顕在化した筋性部心室中隔欠損合併左室緻密化障害の1例
○西久保 拓真1, 辻井 信之1,2, 梶本 昂宏1,2, 奥本 航平1, 辻本 虹歩1, 三谷 和大2,3, 殿村 玲2,3, 福場 遼平2,3, 野上 恵嗣1 (1.奈良県立医科大学附属病院 小児科, 2.奈良県立医科大学附属病院 先天性心疾患センター, 3.奈良県立医科大学附属病院 胸部・心臓血管外科)
キーワード:
左室緻密化障害、拡張型心筋症、Fontan循環
【背景】左室緻密化障害(left ventricular noncompaction:LVNC)は、左心室壁の過剰な網目状肉柱形成と深い間隙を特徴とする疾患群であり、臨床的には拡張型心筋症様の病態を呈することがある。新生児期発症例は10~15年で半数が心移植の適応あるいは死亡する疾患群であり、胎児心不全や胎児死亡の原因となりうる。また、Glenn術後やFontan術後に心収縮力低下を来す症例も報告されている。今回、Fontan手術1年後に心収縮力低下が顕在化した多発筋性部心室中隔欠損を合併するLVNCの1例を経験したため報告する。【症例】3歳男児。生下時の心エコー検査にて多発筋性部VSDを指摘された。徐々に多呼吸が進行したため、日齢6に当院へ搬送された。精査の結果、多発筋性部VSDおよびLVNCを認め、左室駆出率(LVEF)は約47%と心収縮力低下を認めた。日齢13に主肺動脈絞扼術を施行後、長期のカテコラミンサポートを要した。生後10か月時に両方向性Glenn手術およびDKS吻合術を施行後、β遮断薬およびACE阻害薬を導入し、2歳時にFontan手術を完遂した。Fontan術後1年時の心臓カテーテル検査では中心静脈圧15 mmHgと高値であったものの、DKS吻合部を含め有意な狭窄病変は認めず、LVEFは47%と心収縮力は維持されていた。しかし、術後1年6か月頃よりBNPの上昇、LVEFの20%台への低下、心室性期外収縮の頻発を認めた。心臓移植は希望されず、現在は慢性心不全治療を強化するとともに、遺伝子検査を提出中である。【考察】LVNCの臨床経過においては、Fontan手術後の遠隔期においても心不全が顕在化する可能性があり、慎重な長期経過観察が重要である。
