講演情報
[I-P16-08]左室心筋緻密化障害に大動脈弁狭窄症が合併し、急速に心不全が進行した一例
○永松 優一1, 上田 知実1, 小森 悠矢2, 正谷 憲宏3, 和田 直樹2, 矢崎 諭1, 嘉川 忠博1, 松井 彦郎1, 戸田 紘一4 (1.榊原記念病院 小児循環器内科, 2.榊原記念病院 小児心臓血管外科, 3.榊原記念病院 集中治療科, 4.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
キーワード:
左室心筋緻密化障害、大動脈弁狭窄症、重症心不全
【背景】若年発症の左室心筋緻密化障害(LVNC)は長期の無症状および緩徐な心機能低下の経過が多い。今回、乳児期からLVNCが疑われた症例が術後遠隔期に大動脈弁狭窄症(AS)が進行し、急速に心機能が低下したため報告する。【症例】 11歳女児。1か月健診を契機に前医で心室中隔欠損症、大動脈弁下狭窄、中等度の大動脈弁逆流症と診断された。生後8か月で当院へ紹介され、初診時に粗い左室心筋構造が指摘されていた。精査後に心内修復術+大動脈弁形成術を施行し、以降は大きな問題なく近年は年1回の外来通院となっていた。前年の心エコーはLVEF 58.6%, LVDd 43 mmであり、胸部X線の心陰影拡大や心電図の左室負荷所見も見られなかった。 10歳4か月頃から息切れあり、11歳の定期外来時に胸部X線で心胸郭比61.2%、心エコーでLVEF 18.5%, LVDd 54 mmと高度の収縮能低下と左室拡大、加えて左心耳内に浮動性の血栓を認めたため、精査加療目的に入院した。心エコーは上記所見に加え、びまん性の左室壁運動の低下と心尖部を中心に粗い肉柱形成が目立ち、LVNCが疑われた。左室-大動脈弁血流は2.3 m/s, 圧較差13 mmHgであったが、後日施行した心臓カテーテル検査で左室-大動脈圧較差は33 mmHgであり、大動脈弁のdomingを認め、中等症以上のASと判断した。入院以降はドブタミン 3γ、ミルリノン 0.5γ、ヘパリン持続静注で治療を開始し、手術介入が必要と判断したが低心機能を考慮しVADの装着が可能な施設での手術が望ましいと判断した。しかし、心筋生検後よりPVCやST低下を呈し、最終的にはVF stormを生じ挿管およびVA-ECMO管理となったため、Bridge to transplantationとしてLVAD装着目的にVAD実施施設に転院した。【考察】ASの経過では心筋の求心性肥大を認めることが多いが本症例では経時的な心筋肥厚を呈することなく心機能低下が急速に進行したと考えられる。LVNCにASを合併する症例のフォローアップにはより注意を必要とする。
