講演情報
[I-P18-04]総肺静脈還流異常症修復術後に片側の完全肺静脈閉塞となるも生存する 4症例の報告
○三輪 将大, 實川 美緒花, 増田 祥行, 荻野 佳代, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)
キーワード:
TAPVC、Pulmonary Venous Obstruction、PH
【緒言】総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後の肺静脈閉塞(PVO)は予後を左右する重篤な合併症である。そのうち片側のみの完全閉塞は比較的稀であり、その臨床経過は十分に知られていない。2000年から2025年までにTAPVC修復術を施行した当院で経過観察されているTAPVC 55例(内臓錯位症候群を除く)のうち片側PVOを認めるも、現在生存する4例について臨床経過について報告する。【症例】年齢は6歳から13歳、病型はDarling1a型が2例、1b型が1例、1a+2b+3の混合型が1例であった。1b型の1例は大動脈縮窄症を合併した。日齢0~2にTAPVCと診断され、日齢0~9にTAPVC修復術を行われた。いずれもTAPVC修復術後に片側または共通肺静脈の狭窄または閉塞を認めた。初回介入はいずれも外科的介入であり、術後1ヶ月の症例から術後1年8か月の症例もあった。酸素化不良、呼吸状態の悪化や心臓超音波検査による推定右室圧の増大、胸部単純X線写真による肺うっ血の所見が診断契機となった。1例は術後11か月で既に完全閉塞を認め介入困難であったが、他3例は外科的再介入やカテーテル治療を反復した。しかし、閉塞側肺静脈の血流再建は得られず、完全閉塞にいたった。全例左肺静脈の完全閉塞であったが、右肺静脈は開存を維持できている。直近の心臓カテーテル検査による平均肺動脈圧はTAPVC修復術後9年半で15mmHgの症例もあれば、同時期で44mmHgの症例もあった。肺高血圧に対して在宅酸素療法導入している症例が1例、肺血管拡張薬投与を継続している症例は2例、もう1例はいずれも現在は使用なく経過観察されている。【結語】閉塞側の肺の血流改善は得られなかったものの、経過中に顕著な肺高血圧の進行は認めず、対側肺主体の循環で生存している。片側PVOの自然歴や介入適応については不明な点が多いが、本症例群は片側肺循環のみでも循環動態が保たれ得る可能性を示している。
