講演情報
[I-PD2-4]臓器アロケーションシステム変更にまつわる今後の悩み
○石戸 美妃子 (東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)
キーワード:
心臓移植適応、アロケーションシステム、1A
2026年3月から心臓移植のアロケーションシステムが変更され、新たにStatus1Aが設定された。この制度は、待機期間が平均5年以上と非常に長いわが国において、限られたドナー資源を効率的に活用し、最も重症度の高い症例を選定し救う事により、待機中死亡を減らし、全体の生命予後を改善するための試みである。Status1Aは、移植待機1ヵ月以内に死亡する可能性が極めて高い以下に示す3つの状態の症例に適応される。1. 現状の治療では適正な循環が維持されていない病態、2. LVAD 装着後の併存症や合併症によって生命のリスクが生じている病態、3. 再移植を必要とする病態で、LVAD 装着が困難かつ、静注強心薬依存で退院困難であるもの。Status 1A は、各移植施設の前年の移植数の20%まで申請でき、移植施設内の検討委員会を経て、日本循環器学会心臓移植委員会のStatus 1A 審査部会で検討される。認定患者は、同じ血液型からのみ移植が可能で、原則辞退はできない。例外として、ドナーとレシピエントの体重比が適切でない場合、 ドナーの心機能が著しく低下しており、移植が医学的に不適切と判断される場合、 想定される虚血時間が4時間を超える場合や、移植が困難と判断される場合のみである。移植されず1ヶ月経過した場合、翌月の部会で、辞退理由を報告、認定継続の可否を審議される。これらは、小児においても適応が可能となるように、幅を持たせた表現となってはいるが、実際に小児で1Aを適応するにはかなりの勇気が必要な状況と考えられる。1ヵ月以内に適切な体格のドナーが出る可能性が低い事はもちろん、長期に補助人工心臓を装着し待機している患者のほとんどが、一日千秋の想いでドナーを待っている中、もし同じ血液型に1A登録患者が出たら、待機期間が年単位で伸びてしまう可能性をはらんでいるからである。公平性を保つためには全移植施設の理解と高い倫理観が求められる。
